Vaughan Williams分類Ⅱ群に分類されるテノーミン®(アテノロール)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『テノーミン®IF, 2021年7月(第16版)』のことです。
Contents
テノーミン®(アテノロール)薬物動態情報
適応
- 本態性高血圧症(軽症~中等症)
- 狭心症
- 頻脈性不整脈(洞性頻脈、期外収縮)
用法用量
テノーミン®錠 1回50mg 1日1回経口投与(最大1回100mg)
バイオアベイラビリティ
- 約50%
(IF:P.15より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 約76L
(IF:P.15より)
Vd(b)≦Vd/(B/P)=76/0.5
Vd(b)≦152L
Vd(b)≧50(細胞内分布型)、Vd(b)=20~50(分布中間型)、Vd(b)≦20(細胞外分布型)すべての可能性があるため特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 97.5mL/min
(IF:P.15より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- アテノロールは肝臓でほとんど代謝をうけない。
- 経口投与により、約50%が消化管から速やかに吸収され、肝臓における初回通過効果を受けずに体循環に入る。
- 尿中、糞中から投与量のそれぞれ約50%が回収されたが、その90%は未変化体であった。
(すべてIF:P.16より)
上記より腎排泄型の薬剤といえます。
補足までに文章から読み取れることは下記となります。
- 消化管から吸収されなかった薬剤約50%=糞中に排泄された約50%
- 体内に吸収された50%のうち45%が尿中未変化体として回収された。(体内に吸収された量を100としたとき90%が未変化体。)
またCL≒腎クリアランス(CLR)と考えることができます。
抽出比
- 腎抽出比
ER≦CLR(ml/min)/(B/P)/QR(ml)=97.5/0.5/1200
ER≦0.1625
ER<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。
タンパク結合率
- 約3%
(IF:P.15より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.03=0.97
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。
半減期
- 7.88~10.8時間
(IF:P.14より)
その他
- 治療上有効な血中濃度:該当資料なし
- 透析除去率:34~50%(IF:P.17より)
テノーミン®(アテノロール)薬物動態情報まとめ
テノーミン®(アテノロール)の特徴
- Vaughan Williams分類:Ⅱ群
- 腎排泄型
- ER≦0.1625→消失能依存型(ER<0.3)
- Vd(b)≦152L特徴づけ不可
- fuP=0.97→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
- バイオアベイラビリティ:約50%
- 半減期:7.88~50時間
- 治療上有効な血中濃度:該当資料なし
- 透析除去率:34~50%