Vaughan Williams分類Ⅱ群に分類されるブレビブロック®(エスモロール)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『ブレビブロック®注IF, 2019年3月(第6版)』のことです。
Contents
ブレビブロック®(エスモロール)薬物動態情報
適応
- 手術時の上室性頻脈性不整脈に対する緊急処置
用法用量
- ブレビブロック®注
1回0.1mL/kg(エスモロール塩酸塩として1mg/kg)を30秒間で心電図の連続監視下に静脈内に投与
引き続き持続投与を行う場合:0.9mL/kg/hr(150μg/kg/分)で持続静脈内投与
バイオアベイラビリティ
- 注射剤であり該当しない
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 1320.3±696.3ml/kg
(IF:P.11より)
体重60kgの場合、かつLに単位変換すると、Vd=79.2L
Vd(b)≦Vd/(B/P)=79.2/0.5
Vd(b)≦158.4L
Vd(b)≧50(細胞内分布型)、Vd(b)=20~50(分布中間型)、Vd(b)≦20(細胞外分布型)すべての可能性があるため特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 243.4±61.1ml/min/kg
(IF:P.11より)
体重60kgの場合、CL=14604ml/min
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 1%以下
健康成人にエスモロール塩酸塩を30秒間かけて1mg/kg単回急速静脈内投与した場合、投与後24時間までにエスモロール塩酸塩としては1%以下、代謝物であるASL-8123は約80%が尿中に排泄された。(IF:P.21より)
Ae≦30より肝代謝型の薬剤といえます。
Ae≦1%であり、全身クリアランス(CL)≒肝クリアランス(CLH)とします。
抽出比
- 肝抽出比
EH≦CLH(ml/min)/(B/P)/QH(ml)=14604/0.5/1600
EH≦18.255
EH<0.3(消失能依存型)、0.3≦EH≦0.7(中間型)、EH>0.7(血流速度依存型)すべての可能性があり特徴づけできませんでした。
タンパク結合率
- 34~42%
(IF:P.13より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.42=0.58
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。
半減期
- 3.58±1.03min
(IF:P.11より)
その他
- 治療上有効な血中濃度:該当資料なし(IF:P.10より)
- 透析除去率:該当資料なし
- 血球中エステラーゼにより代謝される。
ブレビブロック®(エスモロール)薬物動態情報まとめ
ブレビブロック®(エスモロール)の特徴
- Vaughan Williams分類:Ⅱ群
- Ae≦1%→肝代謝型(Ae≦30)
- EH≦18.255→特徴づけ不可
- Vd(b)≦158.4L→特徴づけ不可
- fuP=0.58→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
- バイオアベイラビリティ:注射剤のため該当しない
- 半減期:3.58分
- 血球中エステラーゼにより代謝される
- 治療上有効な血中濃度:該当資料なし
- 透析除去率:該当資料なし