フィブラート系薬剤であるベザトール®SR(ベザフィブラート)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
フィブラート系薬剤は脂質異常症(高脂血症)の中でもトリグリセリド(中性脂肪)が高い病態などに対して使用される薬剤です。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『ベザトール®SR錠IF, 2020年8月(第9版)』のことです。
Contents
ベザトール®SR(ベザフィブラート)薬物動態情報
適応
- 高脂血症(家族性を含む)
用法用量
- ベザフィブラート 1回200mg 1日2回経口投与
1.5mg/dL<Scr<2.0mg/dL、50mL/min<CLCr<60mL/min:1回200mg 1日1回
Scr≧2.0mg/dLは禁忌
Scr:血清クレアチニン値
CLCr:クレアチニンクリアランス
バイオアベイラビリティ
- 該当資料なし(IF:P.16より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
分布容積(Vd)
- 該当資料なし(IF:P.16より)
分布容積が不明のため特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 該当資料なし(IF:P.16より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 尿中排泄率69.1%
※未変化体+代謝物
※ほとんどが24時間以内
(IF:P.18より)
上記よりAeは70%未満であることは分かりますが、Aeの具体的な値は不明でした。
データからはAe=30~70(腎・肝混合型(中間型))とAe≦30(肝代謝型)のどちらも可能性がありますが、「主として腎臓を経て尿中に排泄される(IF:P.7より)」とあり、また腎機能低下により横紋筋融解症のリスクも高まるため、腎排泄の寄与は大きいと考えられました。
抽出比
Aeが不明・クリアランスが不明のため、腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- 93.6%(IF:P.16より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.936=0.064
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 3時間(IF:P.15より)
その他
- 尿中に未変化体及び代謝物(グルクロン酸抱合体及び水酸化体)を認めたが,血漿中はほとんど未変化体であった。(IF:P.17より)
- 透析除去率:該当資料なし(透析患者は横紋筋融解症のリスクがあるため禁忌)
- 重篤な腎機能障害を有する患者で横紋筋融解症があらわれやすい
ベザトール®SR(ベザフィブラート)薬物動態情報まとめ
ベザトール®SR(ベザフィブラート)の特徴
- 腎・肝中間型
- ER、EH、Vd(b):特徴づけ不可
- fuP=0.064→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:該当資料なし
- 半減期:3時間
- 透析除去率:該当資料なし
- 腎不全(Cre≧2.0mg/dL)・透析は禁忌
- 横紋筋融解症に注意