尿酸排泄促進薬のユリス®(ドチヌラド)について薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『ユリス®IF, 2022年11月(第4版)』のことです。
Contents
ユリス®(ドチヌラド)薬物動態情報
適応
痛風、高尿酸血症
用法用量
ユリス® 1日1回経口投与
開始量:0.5mg
維持量:2mg
最大量:4mg
バイオアベイラビリティ
- 91.42%(IF:P.61より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- B/P=0.5
血球移行率0%(IF:P.63より)
血球移行率A%で計算します。(A=0)
血漿分布率=1-A=Z
Z=1-0=1
B/P=全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度・(1-Ht)とHt=0.5より
B/P=1/Z・(1-0.5)=0.5
B/P=0.5
分布容積(Vd)
- みかけの分布容積10.66±1.19L(IF:P.60より)
みかけの分布容積のため特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- みかけの全身クリアランス0.783±0.113L/hr(IF:P.60より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 1.1%(IF:P.65より)
Ae≦30より肝代謝型の薬剤といえます。
抽出比
みかけのクリアランスのため、腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- 99.2~99.4%(IF:P.63より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.992=0.008
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 約9.6時間(IF:P.56より)
その他
- 腎障害、肝障害による禁忌なし
- グルクロン酸抱合及び硫酸抱合により代謝される
- ドチヌラドは、URAT1 を選択的に阻害し、尿酸の再吸収を抑制することにより尿中尿酸排泄量を増加させ、血清尿酸値を低下させる、 URAT1 選択的な尿酸再吸収阻害薬である。
- 透析除去率:該当資料なし
- ヒトURAT1発現細胞を用いた尿酸取り込み阻害作用(in vitro)
- ドチヌラドは濃度依存的に尿酸取り込みを阻害し、IC50値は0.0372μmol/Lであった。一方、ベンズブロマロン及びプロベネシドのIC50値は、それぞれ0.190μmol/L及び 165μmol/Lであった。(IF:P.53より)
→尿酸取り込み阻害作用:ドチヌラド>ベンズブロマロン>プロベネシド
ユリス®(ドチヌラド)薬物動態情報まとめ
ユリス®(ドチヌラド)の特徴
- Ae:1.1%→肝代謝型(Ae≦30)
- ER・EH・Vd(b):特徴づけ不可
- fuP:0.008→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:91.42%
- 半減期:約9.6時間
- 透析除去率:該当資料なし
- グルクロン酸抱合及び硫酸抱合により代謝
- 腎障害、肝障害による禁忌なし
- 尿酸取り込み阻害作用:ドチヌラド>ベンズブロマロン>プロベネシド