今回は、『病院薬剤師がお金について学ぶべき』3つの理由について解説していきます。
私自身は病院薬剤師ですが、薬剤師の中でも病院薬剤師は特にお金について学ぶべきです。なぜなら病院薬剤師は薬剤師の中でも給料が低い傾向にあるからです。ずっと病院薬剤師として続けていくのであれば、少ない収入を別の手段で補わなければいけません。
そのため、お金の知識をつけていくことが重要です。
さて、病院薬剤師の皆さんは薬や疾患、病態等については日頃から勉強しているかと思います。
しかし、お金についてはどうでしょうか?私自身は全くといっていいほど勉強してきませんでした。結婚して、子供が産まれて、さらに将来のことを考えたときにお金が必要になるイベントが増えてくるのが容易に想像できます。不安になるんですよね。自分の給料だけで生活していけるのか・・・。子供に過度な我慢はさせたくないし、老後2000万円問題もありますし・・・。そう思ってお金について勉強しはじめると、もっと若いうちに知りたかった、学ぶべきだったと痛感することばかりでした。
日本の義務教育では、金融教育(ファイナンス)という授業はないので、お金については自分自身で学ばないといけません。これから義務教育になるかもしれません。また、高校では2022年4月から「金融教育」が必修となります。10年も経たないうちに金融について学んできた薬剤師が誕生します。もう知らないではすまないんです。
そこで今回は、『病院薬剤師がお金について学ぶべき3つの理由』について解説していきます。
Contents
病院薬剤師がお金について学ぶべき3つの理由
なぜ病院薬剤師がお金について学ぶ必要があるのか?結論です。
- 薬剤師の中でも病院薬剤師の平均年収は低い
- お金の使い方次第で小金持ちになりやすい
- 安心して病院薬剤師を継続することができる
病院薬剤師は給料が低い傾向にあるので将来的に転職を考える人が多いのですが、お金について学ぶと『稼いだお金で、早くから自己投資と資産運用を行い、資産を構築することができる』ので、安心して病院薬剤師を続けることができますね。(※小金持ちとは「生活に不自由せず、好きなことをやって暮らしていけるだけの資産を持っている者のこと」です。)
では説明していきますね。
病院薬剤師がお金について学ぶべき理由
病院薬剤師がお金について学ぶべき理由は、3つあります。
- 薬剤師の中でも病院薬剤師の平均年収は低い
- お金の使い方次第で小金持ちになりやすい
- 安心して病院薬剤師を継続することができる
順番に詳しく解説していきますね。
薬剤師の中でも病院薬剤師の平均年収は低い
薬剤師が活躍できる場は多岐にわたりますが、ここでは、主な4つの職場で比較します。
順位 |
就業先 |
初任給 |
初年収 |
平均年収 |
1位 |
製薬会社 |
22万円前後 |
300万円前後 |
600〜1,200万円 |
2位 |
ドラッグストア |
25〜35万円 |
350〜450万円 |
500〜800万円 |
3位 |
調剤薬局 |
22〜30万円 |
350〜400万円 |
450〜700万円 |
4位 |
病院 |
20〜25万円 |
300〜350万円 |
400〜650万円 |
病院薬剤師は、製薬会社、ドラッグストア、調剤薬局と比較して初任給、初年収、平均年収が低い傾向にあります。
これまでにも、収入の低さから経験を積んで調剤薬局等に転職した病院薬剤師をたくさん見たり聞いたりしてきました。
病院のいいところ、調剤薬局のいいところ、ドラッグストアのいいところそれぞれあると思いますが、病院で働いている薬剤師が今後も病院で続けたいと思っていても、収入の面だけがネックになってしまうのはなぁ…と思っています。
本当は病院薬剤師の給料も含め薬剤師全体の給料がもっとあがればいいんですが、すぐに実現するかというと現実的ではありませんよね。
だから、お金について学ぶ必要があります。
病院薬剤師もお金の使い方次第で小金持ちになれる
薬剤師の平均生涯年収
薬剤師は、「国家資格」です。つまり「国の資格が必要な職業」です。そのため、基本的に仕事がなくて困るという状況は、一般職に比べて少ないです。なにせ最低でも大学に6年間通わないといけないですからね。安定した職業の1つです。
では、生涯年収についてみていきましょう。
65歳定年の薬剤師の平均生涯年収 | 2億3043万円 |
一般職(日本全体の正規雇用)の平均生涯年収 | 1億9133万円 |
参考資料
・薬剤師の平均生涯年収:「令和2年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
・一般職(日本全体の正規雇用)の平均生涯年収:「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」(国税庁)
基本的に薬剤師の平均生涯年収は、一般職に比べて高いです。ただし、薬剤師は年収が上がりにくい特徴があります。そのため、生涯年収は高いけれど、50代〜60代における年収は一般職よりも低くなる可能性もあります。
加えて、薬剤師の平均生涯年収は高いとはいえ、病院薬剤師は先ほども示したように薬剤師の中では低い傾向にあります。
つまり、私たち病院薬剤師は「若いうちに稼いだお金」をどのように使うかで人生が大きく変わってしまいます。若い時にお金を使ってしまって、必要になった時にお金がない…ということは避けたいですね。
オススメの使い方は、『少額金融投資』です。そもそも金融投資は、始めるタイミングが早ければ早いほど有利です。なぜなら、お金には『複利』という画期的なシステムがあるからです。
実際にシミュレーションしてみてみましょう。
複利の力を知る
SBI証券の積立シミュレーションで複利の力を数字で分かりやすく理解できます。投資期間は25年間、月々の積立額と利回りを5~7%のどれかで入力してみてください。
※リターンが5〜7%の理由は、投資信託S&P500を投資先で考えると、過去のデータより、長期的には5〜7%に収束するからです。ここでは少なめに見積もって5%で計算をしました。
出典:SBI証券 積立シミュレーションより
条件設定 積立期間:25年間 |
25年間の元本は1200万円、運用収益は約1167万円の合計2367万円です。税金については考慮していませんが、これだけでも老後2000万円問題は解決できますね。
25年間と設定した理由は、例えば40歳で開始した場合の定年(65歳)時点での積立額を知るためです。40歳だからといって遅いということはないんですね。
では、これを新人の頃からやっていたらどうでしょう。分かりやすく40年間とします。
出典:SBI証券 積立シミュレーションより
条件設定 積立期間:40年間 |
40年間の元本は1920万円、運用収益は約4101万円の合計6021万円です。
複利の力を侮ってはいけません。ぜひ投資する際は、時間を味方にできないか考えていきたいですね。
つまり、病院薬剤師は、複利の力を利用して、『20代や30代のうちにお金を投資に回していくこと』をオススメします。私自身も就職したときからやっていればなぁと思いましたが、過ぎた時間は仕方ありません。これからすぐ始めればいいと思います。
投資初心者の方にオススメの制度は、『iDeCo』・『積み立てNISA』です。国(厚生労働省)がオススメしています。
厚生労働省のiDeCoパンフレットはコチラ
国も面倒は見れないから、自分の老後は自分で見てくださいねということです。まずは片方、できれば両方できるといいですよね。(そこは自分の資産と相談して無理しない範囲ではじめてくださいね。)
面倒だと思っても、一度自分で調べてみることをオススメします。
積み立てNISA・iDeCoどうやって始めるの?
積み立てNISAは、証券会社通して、積み立てNISAの口座を作る必要があります。証券会社はいくつでも作ることができますが、積み立てNISAの口座もiDeCoの口座も一人一つまでです。同じ証券会社を選択しても良いですし、異なる証券会社を選択しても良いです。
基本的におすすめはネット証券です。理由は、手数料が安いからです。あとは取扱商品の種類・本数が豊富な証券がいいですね。
私のおすすめのネット証券はSBI証券・楽天証券・松井証券です。
SBI証券はコチラ
楽天証券はコチラ
松井証券はコチラ
お金が全てではない
もちろんお金が全てではありません。
自分が自由に使える部分から少額積立投資を除いた部分は好きに使ってください。
自己投資ももちろん重要ですし、20代の思い出もとても大事です。
旅行に出かけて新しいものに触れるもよし、本を読んでまったりしてもよし、趣味に没頭してもよし、株式投資に回してさらに資産をつくるもよしです。
今だけでなく未来のためにもお金を使っていきましょうね。
病院薬剤師もお金の使い方次第で小金持ちになれる
先ほどの投資と複利の部分でも説明した通り、病院薬剤師も小金持ちになれる可能性は非常に高いです。野村総研さんが、純金融資産別世帯割合のデータを発表してくれています。
出典:日本の純金融資産保有額別世帯数・資産規模の推計(野村総研)
1億円以上の富裕層はお金持ちです。5000万円〜1億円未満は小金持ちになります。そして1番下の層である3000万円未満に、一般のサラリーマンが多く入っています。
一般的な薬剤師としての収入だけの場合、良くてアッパーマス層(3000万円〜5000万円)止まりです。やはり薬剤師の給料は安定していると思いますが、伸び悩んでしまうこともまた事実です。(ちなみに私の場合、基本給の上昇は2~3000円/年程度でした。基本給だけで見るとめっちゃ伸び悩んでますね(笑))
しかし、薬剤師は難関な国家試験に合格した人たちです。
記憶力や理解力、勉強ができるので、お金の使い方さえ学べば、準富裕層は高確率で到達可能範囲だと考えています。
そこで、オススメなのが、『可処分時間の有効活用』です。
次は、可処分時間について詳しく解説していきますね。
可処分時間の有効活用
可処分時間とは、1日の中で自由に使える時間のことです。もう少し詳しく説明すると、1日24時間のうち睡眠や食事、仕事通勤といった、生活に欠かせない時間を差し引いた残りの自由に使える時間を可処分時間と呼びます。
可処分時間を分かりやすく計算式にすると、以下のようになります。
可処分時間=24時間-(固定時間)
※固定時間:睡眠、食事、入浴、通勤時間、勤務時間、日用品の買い物、家事など
可処分時間の有効活用が大切です。つまり、可処分時間は、お金に換金できる可能性を秘めています。
『Time is money(時は金なり)』ということわざを聞いたことがあると思います。「時間はお金と同様に貴重なものだから、決して無駄にしてはいけない」という意味です。
例えば、お金を払って新幹線に乗ることで、普通電車よりも早く目的地に着くことが可能です。目的地に早く着くことで、目的地で過ごせる時間が増えます。つまり、“お金を払って新幹線に乗る”と“目的地で過ごす時間”を交換しているということです。
このようにお金と時間は密接に関係しています。
お金と時間を交換しているように、時間とお金を交換することもできます。
一番簡単な方法は、本業とは別にバイトをすることですね。時給で給料をもらうことは時間をお金に換えていることです。
あなたの貴重な可処分時間をお金に換える方法は、様々です。
そしてあなたが、あなたの可処分時間をどのように使うかはあなた次第です。
次に可処分時間をお金に変える方法について解説していきますね。
可処分時間で病院薬剤師の給与+αを得る
病院薬剤師の給与“+α”を得るためにはどうすればよいのか。
- 可処分時間を自己投資の時間に充てる
- 可処分時間を副業に充てる
順番に解説していきますね。
可処分時間を自己投資の時間に充てる
可処分時間をお金に変える方法は、自己投資の時間に充てることです。自己投資とは、将来的に利益を得ることを目的として、「自分が持っている資源(=お金や時間)」を自分自身に対して投じることです。
20代から30代の人にオススメの自己投資を以下にまとめて書いておきます。
- 薬剤師の勉強(本業)
- 旅行にいく
- 本を読む
- 資産運用の勉強
若い時の経験は必ず将来につながってきます。
ですが、“何事もバランスよく“が大事です。私自身は①~③が中心で、④資産運用をもっと早くしていればなぁと思っているので、資産運用も並行して早くから始めることをオススメします。
もう一度言いますが、時間を味方につけることができるので、本当に資産運用だけは早く始めることをオススメします。
可処分時間を副業に充てる
可処分時間をお金に変える方法は、副業に時間を充てることです。副業は、本業以外の時間で、お金を稼ぐことです。
副業は、自分の好きなことや趣味を延長線上に伸ばしていくことをオススメします。
なぜなら、すぐに稼ぐことは難しいので、継続が必要になってくるからです。
『継続は力なり』ですが、好きでもないことは、なかなか続かないですからね。
ですが、とりあえずなんでもいいからやってみることをオススメします。やってみて意外とコレ好きかもと思うかもしれないですし、やっぱり合わなければ他のことに取り組めばいいですし、そもそもやらなかったらゼロのままですからね。
気軽にできる薬剤師のポイ活もあります。薬剤師でまだやっていないという方は参考までにどうぞ。
安心して病院薬剤師を継続することができる
経済的な心配がなくなったら、給料が低いからという理由で病院薬剤師から転職しようと考えることはなくなると思います。
病院薬剤師は薬剤師の中では給料が低い傾向にありますが、一般的には収入も安定している職業です。お金について学び、早期から資産運用をして資産を構築することができれば、安心して病院薬剤を継続することができますね。
病院薬剤師がお金について学ぶべき3つの理由まとめ
- 薬剤師の中でも病院薬剤師の平均年収は低い
- お金の使い方次第で小金持ちになりやすい
- 安心して病院薬剤師を継続することができる
→『稼いだお金で、早くから自己投資と資産運用を行い、資産を構築することができる』ので、安心して病院薬剤師を続けることができる。
一番重要なのは「安心して病院薬剤師を継続することができる」ことです。
お金があることでお金がないという不安をなくすことができます。お金がすべてではないとは思いますが、私も含めてもう少し給料が高ければなぁと思っている病院薬剤師は多いのではないでしょうか。そして病院薬剤師を続けたいけど、給料が低いから将来に不安を感じ転職を考える方も多いのではないでしょうか。
だからこそ病院薬剤師はお金について学ばないといけません。上手にお金を使って、将来のお金がないという不安をなくすことができたら安心ですよね。寝ている時間(時間と複利を活用した少額積立投資)も、起きている時間(自分の可処分時間を活用した副業など)も、上手に使っていきましょうね。
病院薬剤師が一人でも多く、少しでも早く、お金について学び始めてほしいと思います。
著者自身も小金持ちを目指して資産運用している途中です。目指す人は「生活に不自由せず、好きなことをやって暮らしていけるだけの資産を持っている」小金持ちを一緒に目指していきましょう。
そして、これからも病院薬剤師を楽しみながら活躍していきましょうね!