【尿酸生成抑制薬・尿酸排泄促進薬】高尿酸血症・痛風と薬物治療
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この記事では高尿酸血症・痛風について、またその薬物治療について概要をまとめています。

この記事でわかること
  • 高尿酸血症と痛風の概要
  • 薬物療法開始の目安の尿酸値
  • 治療の目標尿酸値
  • 尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬の使い分け
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高尿酸血症・痛風と薬物治療

高尿酸血症・痛風の概要

高尿酸血症とは

高尿酸血症とは、男女、年齢を問わず血清尿酸値が7.0 mg/dLを超える状態と定義されています。
高尿酸血症の頻度は全人口の男性で20%、女性で5%と報告されています。
また、高尿酸血症は動脈硬化、脳卒中、虚血性心臓病、心不全などの臓器障害とも密接な関連を持っているとされています。

痛風関節炎とは

痛風関節炎とは、高尿酸血症が持続することで関節内などに析出した尿酸一ナトリウム(MSU)結晶によって引き起こされる急性関節炎のことです。
MSU結晶を体組織から消失させるためには尿酸の体液中での溶解限界と考えられる6.4 mg/dLよりも低い6.0 mg/dL未満に血清尿酸値を維持することが重要であるとされています。
高尿酸血症により引き起こされる痛風の有病率は1%を超えていると推定され、現在も増加傾向であると考えられています。

治療の必要性

無症候性高尿酸血症

薬剤を考慮する前に、アルコールの摂取制限も含めた生活習慣の改善を行う必要があります。
生活指導後も血清尿酸値が9.0 mg/dL以上の無症候性高尿酸血症患者(尿路結石を含む腎障害や心血管病のリスクと考えられる高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの合併症を有する場合は、血清尿酸値8.0 mg/dL以上)では、血清尿酸値を低下させるために薬物治療開始を考慮するとされています。
ただし、薬物治療による臓器障害の予防効果、痛風関節炎の予防効果は否定的です。
そのため、尿酸値が高いというだけですぐ薬物治療が必要とはなりません。

痛風

症状発現時は血清尿酸値を低下させることで痛風結節内のMSU結晶が減少し、結節の縮小あるいは消失、再発防止が可能です。
ですが、急性期の薬物治療に尿酸生成抑制薬・尿酸排泄促進薬は用いられません。
急性期には非ステロイド系抗炎症薬、コルヒチン、グルココルチコイドが使用されます。
そして症状消失後に尿酸生成抑制薬・尿酸排泄促進薬を使用します。尿酸生成抑制薬・尿酸排泄促進薬開始後に生じる痛風関節炎の予防のために低用量からはじめ、徐々に増量していきます。(急激に低下させると結晶が析出して痛風発作が発現する可能性があります。)

治療目標値

  • 無症候性高尿酸血症:血清尿酸値 7 mg/dL未満
  • 痛風:血清尿酸値 6 mg/dL未満

高尿酸血症は血清尿酸値が7.0 mg/dLを超える状態と定義されているので血清尿酸値7 mg/dL未満が目標値です。
痛風はMSU結晶を体組織から消失させるためには尿酸の体液中での溶解限界と考えられる6.4 mg/dLよりも低い6.0 mg/dL未満に血清尿酸値を維持することが重要であるため6.0 mg/dL未満が目標値となります。

尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬の使い分け

尿酸降下薬は作用機序の違いによって、尿酸排泄促進薬と尿酸生成抑制薬に分類されます。
また高尿酸血症は尿酸の生成と排泄のバランスによって、次の3つの病型に分類されます。

  • 腎臓からの尿酸の排泄が悪い尿酸排泄低下型
  • 尿酸が過剰に作られる尿酸産生過剰型
  • 両者の混在した混合型

基本的には尿酸排泄低下型に尿酸排泄促進薬、尿酸産生過剰型に尿酸生成抑制薬を選択します。
尿酸排泄促進薬は腎臓の尿細管での再吸収を抑制することで尿酸の尿中排泄率を上昇させるため、腎機能が低下している場合では十分な効果が望めません。
そのためeGFR30ml/min/1.73m2未満といった重度腎機能障害の場合では尿酸生成抑制薬が第一選択となります。

尿酸生成抑制薬の使い分けについてはコチラの記事を参考にしてください。

尿酸排泄促進薬の使い分けについてはコチラの記事を参考にしてください。

高尿酸血症・痛風と薬物治療まとめ

  • 高尿酸血症:血清尿酸値7.0 mg/dL以上
  • 生活指導後も血清尿酸値が9.0 mg/dL以上の無症候性高尿酸血症患者(尿路結石を含む腎障害や心血管病のリスクと考えられる高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの合併症を有する場合は、血清尿酸値8.0 mg/dL以上)で薬物療法を検討
  • 尿酸値が高いだけ≠薬物療法
  • 治療目標値
    ・無症候性高尿酸血症:血清尿酸値 7 mg/dL未満
    ・痛風:血清尿酸値 6 mg/dL未満
  • 薬剤の選択
    ・尿酸排泄低下型:尿酸排泄促進薬
    ・尿酸産生過剰型:尿酸生成抑制薬
  • 急性期(痛風発作がある場合)には尿酸生成抑制薬・尿酸排泄促進薬は用いられない
  • 急性期には非ステロイド系抗炎症薬、コルヒチン、グルココルチコイドが使用される

 

参考資料
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版(2019年改訂)、日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改定委員会編集

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