硝酸イソソルビド薬物動態情報
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硝酸イソソルビドは硝酸薬に分類され、硝酸イソソルビドは経口(普通錠・徐放錠)、舌下、スプレー、貼付、静注と様々な投与経路がある薬剤です。

では、硝酸イソソルビドの薬物動態情報をみていきましょう。

 

各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。

本記事中の注IFは『ニトロール®注IF, 2016年6月(第11版)』、カプセルIFは『ニトロール®RカプセルIF, 2015年10月(第10版)』のことです。

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硝酸イソソルビド薬物動態情報

用法用量

  • 徐放錠
    ・狭心症:1回20mg 1日2回 経口投与
  • 錠剤
    ・狭心症:1回5~10mg 1日3~4回経口投与
  • 舌下
    ・狭心症:1回5~10mg
  • スプレー
    ・狭心症発作:1回1噴霧、効果不十分に限り1噴霧追加
  • 貼付
    ・狭心症:1日1回 40mg 胸部、上腹部、背部
  • 静注
    ・急性心不全:1.5~10mg/hr
    ・不安定狭心症:2~5mg/hr

バイオアベイラビリティ

  • 3.2%

バイオアベイラビリティ(経口投与/静注比):約3.2%
AUC:21.0ng・hr/mL(ニトロールRカプセル20mg経口投与)
AUC:2.694ng・min/mL(ニトロール注5mg/hr 静脈内持続注入)
(カプセルIF:P.13より)

全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)

データなし

B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。

分布容積(Vd)

  • 124.0±51.2(L)

5mg静脈内単回投与(注IF:P.13より)

Vd(b)<Vd/(B/P)=124/0.5=248

Vd(b)≧50、Vd(b)≦20、Vd(b)=20~50すべてに当てはまる可能性があり分類できませんでした。

全身クリアランス

  • 134.0±22.2(L/hr)

5mg静脈内単回投与(注IF:P.13より)

2233ml/min

尿中未変化体排泄率(Ae)

  • 0%

ヒトに硝酸イソソルビド(ISDN)を静脈内投与した場合、尿中にはISDNは検出されず2-一硝酸イソソルビド、5-一硝酸イソソルビド及びそれらのグルクロナイドとしてそれぞれの投与量の0.16%、6.44%、0.72%、5.52%が投与開始後24 時間までに排泄された。(注IF:P.17より)

記載より、Ae=0%と判断し、肝代謝型の薬剤となります。また、CL=CLHとなります。

抽出比

  • 肝抽出比 EH<2.79

EH<CLH/(B/P)/QH=2233/0.5/1600
EH<2.79

EH<0.3、EH>0.7、0.3≦EH≦0.7すべてに当てはまる可能性があり分類できませんでした。

タンパク結合率

  • 38~41%(注IF:P.15より)

タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.4=0.6
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。

半減期

  • t1/2β:78.0±24.0(min)(注IF:P.13より)

その他

  • ニトロール®Rカプセルの徐放性

長時間にわたり安定した血漿中濃度を維持できるように徐放性の小顆粒を多数個硬カプセル中に充塡した「マルチプルユニット」製剤

  • 硝酸イソソルビドと塩化ビニルの輸液セット

硝酸イソソルビドは塩化ビニル製の輸液容器及び輸液セットに吸着されるので、点滴時にはガラス製、ポリエチレン製又はポリプロピレン製の輸液容器を使用すること。また、輸液セットへの吸着は点滴速度が遅い程及び輸液セットの長さが長くなる程吸着率が大きくなるので注意すること。

硝酸イソソルビド薬物動態情報まとめ

硝酸イソソルビドの特徴
  • 急性期の症状改善:錠剤、スプレー、注射剤
  • 慢性期の悪化予防:徐放錠、テープ剤(徐放性)
  • Ae=0%→肝代謝型(Ae≦30)
  • EH<2.79→分類不可
  • Vd(b)<248→分類不可
  • fuP=0.6→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
  • バイオアベイラビリティ:3.2%
  • 半減期:78分
  • 硝酸イソソルビドは塩化ビニルに吸着して作用減弱

 

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