メバロチン®(プラバスタチン)薬物動態情報
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HMG-CoA還元酵素阻害薬であるメバロチン®(プラバスタチン)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。

HMG-CoA還元酵素阻害薬はLDL-コレステロールを低下させる薬剤です。

各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。

この記事中のIFとは『メバロチン®IF, 2021年6月改訂(第15版)』をさしています。

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メバロチン®(プラバスタチン)薬物動態情報

用法用量

メバロチン® 1日10mg(MAX20mg)

バイオアベイラビリティ

  • 絶対的バイオアベイラビリティ19.1%
    (IF:P.29より)

    全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)

    不明

    分布容積(Vd)

    • 830.0L
      (IF:P.29より)

    もともとの分布容積が大きく、Vd(b)≧50となると考えられます。

    細胞内分布型の薬剤になると考えられます。

    全身クリアランス

    • 全身クリアランス:13.5mL/min/kg
    • 腎クリアランス :6.3mL/min/kg
      (IF:P.29より)

    尿中未変化体排泄率(Ae)

    • 10.7~11.8%(IF記載値)

    投与後 24 時間までの累積尿中排泄率は未変化体として 10.7~11.8%、代謝物の RMS-416 として 2.4~2.6%であった。
    (IF:P.33より)

    この点からはAe<30より肝代謝型の薬剤といえます。

     

    しかし、データとしてはIFには上記が記載されていましたが、少し気になる点もあります。

    Ae=腎クリアランス/全身クリアランスで表すことができるので、

    Ae=6.3/13.5=0.47となります。

     

    • Ae:47%(CLR/CL計算値)

     

    IFのデータの引用元論文{Singhvi SM, et al.:Br J Clin Pharmacol 1990;29(2):239-243(PMID:2106337)}を調べてみると、クリアランスは静脈投与時のデータと記載されていました。

    静脈投与時のデータなので、尿中未変化体排泄率はコチラのデータを用いるべきだと思います。

    Ae=47%の場合、Ae=30~70となり中間型となります。

     

    また、体内に入って血中に分布した薬剤19.1%(絶対的バイオアベイラビリティ)のうち、投与した薬剤100%に対して11.25%(尿中未変化体排泄率の中間値)が未変化体で尿中排泄されていると読み取ることもできるかと思いますので、

    Ae=11.25/19.1=0.59

    この点からもAe=30~70となり中間型となるかと思います。

    初回通過効果46%(IF:P.32)ともありますので、投与した薬100%のうち、まず65.1%(46+19.1)が体内に吸収され、そのうちの46%が初回通過効果により消失し、残った部分が絶対的バイオアベイラビリティ19.1%となると考えます。

    ただ初回通過効果もありますので肝臓の影響を受けていることは間違いないですね。

    記載しているデータをどのように読み取るか、活用できるかという部分が求められると思いますが、難しいなと思いますね。

    これからも薬物動態情報をひろいながら考えていきたいと思います。

    抽出比

    • 腎抽出比(ER)
      ER=CLR/(B/P)/QR=6.3/0.5/1200=0.0105

    ER<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。

    • 肝抽出比(EH)
      EH=CLH/(B/P)/QH=7.2/0.5/1600=0.009

    EH<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。

    タンパク結合率

    • 血清蛋白結合率53.1%
      (IF:P.31より)

    タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。

    血漿中遊離形率(fuP)=1-0.53=0.47

    fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。

    半減期

    • 2.5~2.7 hr
      (IF:P.26より)

    その他

    異性化が主の反応であり、CYP3A4代謝の影響は受けにくい

    胆汁排泄を経由した糞中排泄が主な排泄経路

    メバロチン®(プラバスタチン)薬物動態情報まとめ

    メバロチン®(プラバスタチン)の特徴
    • Ae=47%→中間型(Ae=30~70)※CLR/CL計算値
    • 腎排泄+胆汁排泄
    • ER=0.0105→消失能依存型(ER<0.3)
    • EH=0.009→消失能依存型(EH<0.3)
    • Vd=830L→おそらく細胞内分布型(Vd(b)≧50)
    • fuP=0.47→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
    • バイオアベイラビリティ19.1%
    • 半減期2.5~2.7時間
    • CYP3A4代謝の影響は受けにくい

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