尿酸排泄促進薬であるベネシッド®(プロベネシド)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『ベネシッド®IF, 2011年7月(第5版)』のことです。
Contents
ベネシッド®(プロベネシド)薬物動態情報
適応
痛風
用法用量
ベネシッド®
開始量:1日0.5~2g 2~4回分割経口投与
維持量:1日1~2g 2~4回分割経口投与
バイオアベイラビリティ
- 100%(外国人のデータ)
(IF:P.8より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 0.15±0.02L/kg(外国人のデータ)(IF:P.9より)
体重60kgの場合、Vd=9L
Vd(b)=Vd/(B/P)=9/0.5=18
Vd(b)<18L
Vd(b)≦20より細胞外分布型の薬剤といえます。
全身クリアランス(CL)
- 0.25~0.38±0.17mL/min・kg
用量依存性であり、0.5g投与で0.38±0.17mL/min・kg、2g投与で0.25±0.09mL/min・kgであった(外国人のデータ)。(IF:P.8より)
体重60kgの場合、CL=15~22.8mL/min
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 該当資料なし
健常成人2人に14C-標識プロベネシド2gを経口投与した場合、投与48時間以内で投与量の約40%がグルクロン酸抱合体として尿中に排泄され、未変化体の排泄は少ない(<4%)。他の代謝物は、n-プロピル側鎖の2位(7.2~12.5%)及び末端(1.6~3.7%)の水酸化体、及びカルボキシ体(6.2~9.2%)、N-脱プロピル体(4.6~8.0%)であり、これらは大部分が遊離の形で排泄される(外国人のデータ)。(IF:P.10より)
代謝物の活性については該当資料なし
<参考>動物における代謝物の活性の有無
動物実験(雑種イヌ)で、n-プロピル側鎖の水酸化体、カルボキシ体には尿酸排泄作用のあることが報告されている。(IF:P.10より)
動物でのデータではあるが代謝物が薬効を示しており、代謝物の未変化体排泄率も考える必要がある。(代謝物の代謝ではないという意味)
記載からは腎排泄型と推測される。
またIFには排泄部位及び経路に下記経路が記載されている。
腎臓、胆汁中(外国人のデータ)(IF:P.10より)
抽出比
Aeが不明のため、腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- 83~95%(外国人のデータ)(IF:P.9より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.83=0.17
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 6~12時間(IF:P.10より)
その他
- 禁忌:腎臓結石、慢性腎不全(eGFR≦30mL/minの患者には無効)
- 尿中への尿酸排泄促進であり、尿量が減少した症例では効果が期待できない。
- 透析除去率:該当資料なし
- 『ペニシリン、パラアミノサリチル酸の血中濃度維持』にも適応あり(プロベネシドはペニシリン、パラアミノサリチル酸の腎尿細管における排泄を抑制し、これらの高い血中濃度を持続することが認められている)
ベネシッド®(プロベネシド)薬物動態情報まとめ
- 腎排泄型
- ER・EH:特徴づけ不可
- Vd(b)<18→細胞外分布型(Vd(b)≦20)
- fuP=0.17→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:ほぼ100%
- 半減期:6~12時間
- 透析除去率:該当資料なし
- 禁忌:腎臓結石、慢性腎不全