ヘルベッサー®(ジルチアゼム)薬物動態情報
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Vaughan Williams分類Ⅳ群に分類される抗不整脈薬ヘルベッサー®(ジルチアゼム)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。

各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。

本記事中のIF錠は『ヘルベッサー®錠IF, 2016年2月(第11版)』、IFカプセルは『ヘルベッサー®RカプセルIF, 2016年2月(第10版)』、IF注は『ヘルベッサー®注射用IF, 2016年2月(第11版)』のことです。

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ヘルベッサー®(ジルチアゼム)薬物動態情報

適応

【ヘルベッサー®注射用10・50】

  • 頻脈性不整脈(上室性)
  • 手術時の異常高血圧の救急処置
  • 高血圧性緊急症
  • 不安定狭心症

 

【ヘルベッサー®注射用250】

  • 高血圧性緊急症
  • 不安定狭心症

 

【ヘルベッサー®錠・Rカプセル】

  • 狭心症,異型狭心症
  • 本態性高血圧症(軽症~中等症)

 

※不整脈の適応があるのはヘルベッサー®注射用10mg・50mgのみです。

用法用量

【ヘルベッサー®注射用】

  • 頻脈性不整脈(上室性)
    ジルチアゼム塩酸塩1回10mgを5mL以上の生理食塩液又はブドウ糖注射液に用時溶解し、約3分間で緩徐に静注する。
  • 手術時の異常高血圧の救急処置
    ・1 回静注の場合:ジルチアゼム塩酸塩1回10mgを5mL以上の生理食塩液又はブドウ糖注射液に用時溶解し、約1分間で緩徐に静注する。
    ・点滴静注の場合:ジルチアゼム塩酸塩5~15mg/kg/minで点滴静注する。目標値まで血圧を下げ、以後血圧をモニターしながら点滴速度を調節する。
  • 高血圧性緊急症
    ジルチアゼム塩酸塩5~15mg/kg/minで点滴静注する。目標値まで血圧を下げ、以後血圧をモニターしながら点滴速度を調節する。
  • 不安定狭心症
    ジルチアゼム塩酸塩1~5mg/kg/minで点滴静注する。(低用量から開始し最大5mg/kg/min)

 

【ヘルベッサー®錠】
1回30~60mg 1日3回経口投与

 

【ヘルベッサー®Rカプセル】
1回100~200mg 1日1回経口投与

 

ヘルベッサー®錠、ヘルベッサー®Rカプセルともに徐放性であり、粉砕投与は不可です。

バイオアベイラビリティ

  • 44.9%
    (IF錠:P.25より)

全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)

  • 該当資料なし

B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。

分布容積(Vd)

  • 160.9±82.3L
    (IF注:P.27より)

Vd(b)≦Vd/(B/P)=160.9/0.5
Vd(b)≦321.8L

Vd(b)≧50(細胞内分布型)、Vd(b)=20~50(分布中間型)、Vd(b)≦20(細胞外分布型)すべての可能性があるため特徴付けできませんでした。

全身クリアランス(CL)

  • 998±407mL/min
    (IF:P.27より)

尿中未変化体排泄率(Ae)

  • 該当資料なし

肝代謝型

正確なAeの値は不明ですがここでは大きく見積もって肝クリアランス(CLH)≒全身クリアランスと考えることとします。

抽出比

  • 肝抽出比
    EH≦CLH(ml/min)/(B/P)/QH(ml)=998/0.5/1600
    EH≦1.2475

EH<0.3(消失能依存型)、0.3≦EH≦0.7(中間型)、EH>0.7(血流速度依存型)すべての可能性があるため特徴付けできませんでした。

タンパク結合率

  • 約60~75%
    (IF注:P.27より)

タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.75=0.25

fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。

半減期

  • 約1.9時間
    (IF注:P.26より)

〈参考〉
ヘルベッサー®錠:約4.5 時間(最高血中濃度到達時間:投与後3~5時間)(IF錠:P.24より)
ヘルベッサー®Rカプセル:約7時間(最高血中濃度到達時間:約14時間)(IFカプセル:P.24より)

ヘルベッサー®錠、ヘルベッサー®Rカプセルともに徐放性であり、粉砕投与は不可です。

その他

  • 主にCYP3A4で代謝される(IF注:P.29より)
  • 治療上有効な血中濃度:該当資料なし
  • 透析除去率:該当資料なし

ヘルベッサー®(ジルチアゼム)薬物動態情報まとめ

ヘルベッサー®(ジルチアゼム)の特徴
  • Vaughan Williams分類:Ⅳ群
  • 不整脈(上室性頻脈性不整脈)の適応があるのはヘルベッサー®注射用10mg・50mgのみ
  • 肝代謝型
  • EH≦1.2475(大きく見積もって)→特徴づけ不可
  • Vd(b)≦321.8L→特徴づけ不可
  • fuP=0.25→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
  • バイオアベイラビリティ:44.9%(内服薬には不整脈の適応なし)
  • 半減期:1.9時間
  • 主にCYP3A4で代謝される
  • 治療上有効な血中濃度:該当資料なし
  • 透析除去率:該当資料なし

 

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