HMG-CoA還元酵素阻害薬であるリピトール®(アトルバスタチン)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
HMG-CoA還元酵素阻害薬はLDL-コレステロールを低下させる薬剤です。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『リピトール®IF, 2021年8月作成(第1版)』をさしています。
Contents
リピトール®(アトルバスタチン)薬物動態情報
用法用量
リピトール® 1日1回10mg
<高コレステロール血症>MAX20mg
<家族性高コレステロール血症>MAX40mg
バイオアベイラビリティ
- 絶対的バイオアベイラビリティ12.2%
(IF:P.27より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
不明
分布容積(Vd)
- Vdss:565L
(IF:P.28より)
もともとの分布容積が大きく、
Vd(b)≧50となり、細胞内分布型の薬剤になると考えられます。
全身クリアランス
- 全身クリアランス:604mL/min
(IF:P.28より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 1.2%
(IF:P.34より)
Ae<30より肝代謝型の薬剤といえます。
腎クリアランス:604×0.012=7.25ml/min
肝クリアランス:604-7.25=596.75ml/min
抽出比
- 腎抽出比(ER)
ER=CLR/(B/P)/QR=7.25/0.5/1200=0.012
ER<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。
- 肝抽出比(EH)
EH=CLH/(B/P)/QH=596.75/0.5/1600=0.746
EH<0.746より分類不能です。
タンパク結合率
- 95.6~99.0%以上
(IF:P.28より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.956=0.044
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 9.44~10.69hr
(IF:P.23より)
その他
- CYP3A4代謝(+)→CYP3A4阻害作用を持つ薬剤との併用に注意
リピトール®(アトルバスタチン)薬物動態情報まとめ
リピトール®(アトルバスタチン)の特徴
- Ae=1.2%→肝代謝型(Ae<30)
- ER=0.012→消失能依存型(ER<0.3)
- EH<0.746→分類不能
- Vd=565L→おそらく細胞内分布型(Vd(b)≧50)
- fuP=0.044→タンパク結合依存型(fuP<0.2)
- バイオアベイラビリティ:12.2%
- 半減期:9.44~10.69時間
- CYP3A4阻害作用のある薬剤との併用時は注意が必要