Vaughan Williams分類Ⅱ群に分類されるインデラル®(プロプラノロール)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIF錠は『インデラル®錠IF, 2021年7月(第17版)』、IF注は『インデラル®注IF, 2021年7月(第13版)』のことです。
Contents
インデラル®(プロプラノロール)薬物動態情報
適応
【インデラル®錠】
- 期外収縮(上室性、心室性)
- 発作性頻拍の予防
- 頻拍性心房細動(徐脈効果)
- 洞性頻脈
- 新鮮心房細動
- 発作性心房細動の予防
- 本態性高血圧症(軽症~中等症)
- 狭心症
- 褐色細胞腫手術時
- 片頭痛発作の発症抑制
- 右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制
【インデラル®注】
- 期外収縮(上室性、心室性)
- 発作性頻拍(上室性、心室性)
- 頻拍性心房細動(徐脈効果)
- 麻酔に伴う不整脈
- 新鮮心房細動
- 洞性頻脈
- 狭心症
- 褐色細胞腫手術時
用法用量
不整脈の用法用量のみ記載しています。その他の適応での用法用量は添付文書等をご確認ください。
【インデラル®錠】
- 成人:1回10mg 1日3回経口投与
効果不十分時は1回20mg、30mgと漸増する - 小児:0.5~2mg/kg/dayを1日3~4回で経口投与
効果不十分時は4mg/kg/dayまで増量可、90mg/dayを超えないこと
【インデラル®注】
- 1回2~10㎎を徐々に静脈内注射
麻酔時は1回1~5㎎を徐々に静脈内注射
バイオアベイラビリティ
- 16~60%
(IF錠:P.14より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 3.6L/kg
(IF注:P.20より)
体重60kgの場合、Vd=216L
Vd(b)≦Vd/(B/P)=216/0.5
Vd(b)≦432L
Vd(b)≧50(細胞内分布型)、Vd(b)=20~50(分布中間型)、Vd(b)≦20(細胞外分布型)すべての可能性があるため特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 0.9~1.2L/min
(IF注:P.20より)
ml/minに単位変換すると、CL=900~1200mL/min
尿中未変化体排泄率(Ae)
- プロプラノロ-ルの代謝は主として肝臓で行われる。
投与量のほとんどが代謝体として尿中に排泄される。
(IF注:P.21より)
上記記載より肝代謝型の薬剤といえます。
全身クリアランス(CL)≒肝クリアランス(CLH)とします。
抽出比
- 肝抽出比
EH≦CLH(ml/min)/(B/P)/QH(ml)=1200/0.5/1600
EH≦1.5
EH<0.3(消失能依存型)、0.3≦EH≦0.7(中間型)、EH>0.7(血流速度依存型)すべての可能性があり特徴づけできませんでした。
タンパク結合率
- 80.5~95.8%
(IF注:P.20より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-(0.805~0.958)=0.042~0.195
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 2.34時間
(IF注:P.20より)
その他
- 主に肝代謝酵素CYP2D6、CYP1A2、CYP2C19で代謝される(IF注:P.15より)
- 治療上有効な血中濃度:該当資料なし
- 血液透析で除去されない(IF注:P.21より)
インデラル®(プロプラノロール)薬物動態情報まとめ
インデラル®(プロプラノロール)の特徴
- Vaughan Williams分類:Ⅱ群
- 肝代謝型
- EH≦1.5→特徴づけ不可
- Vd(b)≦432L→特徴づけ不可
- fuP=0.042~0.195→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:16~60%
- 半減期:2.34時間
- 主に肝代謝酵素CYP2D6、CYP1A2、CYP2C19で代謝される
- 治療上有効な血中濃度:該当資料なし
- 血液透析で除去されない