Vaughan Williams分類Ⅱ群に分類されるカルビスケン®(ピンドロール)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『カルビスケン®IF, 2022年6月(第10版)』のことです。
Contents
カルビスケン®(ピンドロール)薬物動態情報
適応
- 本態性高血圧症(軽症~中等症)
- 狭心症
- 洞性頻脈
用法用量
○本態性高血圧症(軽症~中等症)
○狭心症
カルビスケン® 1回5mg 1日3回経口投与
(狭心症の場合、効果不十分時最大30mg/day)
○洞性頻脈
カルビスケン® 1回1~5mg 1日3回経口投与
バイオアベイラビリティ
- 約75%
(IF:P.10より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 142L
(IF:P.11より)
Vd(b)≦Vd/(B/P)=142/0.5
Vd(b)≦284L
Vd(b)≧50(細胞内分布型)、Vd(b)=20~50(分布中間型)、Vd(b)≦20(細胞外分布型)すべての可能性があるため特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 425.8ml/min
(IF:P.11より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 36.1%
ピンドロールは主として肝臓で代謝され、尿中主代謝産物はグルクロン酸抱合体、硫酸抱合体であった。未変化体として36.1%が排泄された。(IF:P.11より)
Ae=30~70%より腎・肝混合型(中間型)の薬剤といえます。
腎クリアランス(CLR)=CL×Ae=425.8×0.361=153.7ml/min
肝クリアランス(CLH)=CL-CLR=425.8-153.7=272.1ml/min
抽出比
- 腎抽出比
ER=CLR(ml/min)/(B/P)/QR(ml)=153.7/0.5/1200
ER=0.26
ER<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。
- 肝抽出比
EH=CLH(ml/min)/(B/P)/QH(ml)=272.1/0.5/1600
EH=0.34
0.3≦EH≦0.7より中間型の薬剤といえます。
タンパク結合率
- 57.2%
(IF:P.11より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-57.2=42.8
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。
半減期
- 3.65時間
(IF:P.10より)
その他
- CYP2D6の関与が示唆されている。(IF:P.12より)
- 代謝産物はβ遮断作用を示さない。(IF:P.12より)
- 治療上有効な血中濃度:10 ng/mL以上が目安(IF:P.10より)
- 透析除去率:該当資料なし
カルビスケン®(ピンドロール)薬物動態情報まとめ
- Vaughan Williams分類:Ⅱ群
- Ae=36.1%→腎・肝中間型(30<Ae<70)
- ER=0.26→消失能依存型(ER<0.3)
- EH=0.34→中間型(0.3≦EH≦0.7)
- Vd(b)≦284L→特徴づけ不可
- fuP=42.8→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
- バイオアベイラビリティ:75%
- 半減期:3.65時間
- CYP2D6の関与が示唆
- 治療上有効な血中濃度:10 ng/mL以上が目安
- 透析除去率:該当資料なし