不整脈といっても、たくさんあります。
これ全部覚えることできますか?覚える必要はありますか?実は全ての不整脈を覚えて理解することは、多くの人にとっては必要ありません。重要な不整脈を押さえれば大丈夫です。
それでは見逃したくない、押さえるべき不整脈とは何でしょうか?
それはよく見る不整脈・命にかかわる可能性のある不整脈ですよね!
では押さえるべき不整脈についてみていきましょう。
Contents
不整脈で押さえる8種類とは
①AF(心房細動)
②AFL(心房粗動)
③PVC(心室性期外収縮)
-NSVT(非持続性心室頻拍)
-VT(心室性頻拍)
-R on T
④VF(心室細動)
⑤SSS(洞不全症候群)
⑥1°A-VB(1度房室ブロック)
⑦2°A-VB(2度房室ブロック)
⑧3°A-VB(3度房室ブロック)
不整脈を読む3pointとは
1.P波を探す
2.QRS波を探す
3.PQ時間 or R-R間隔(P-P間隔)を見る
心電図の各部位名称
P波、QRS波(幅)、PQ時間、RR間隔がどこを指しているか下の図を見て確認しましょう。
正常な心電図とは?
不整脈をみる前に、正常な心電図を不整脈を読む3pointに当てはめていきます。
正常な心電図とどこが違うのかということは知っておく必要があります。
1.P波を探す
→P波あり
2.QRS波を探す
→QRS波あり、QRS幅は0.10秒(2.5コマ)以内
3.PQ時間を見る
→PQ時間0.12~0.20秒(3~5コマ)
正常な心電図です。基本の形になります。
心電図記録用紙の紙送り速度(記録する速度)は、通常25mm/秒です。
25mm=1秒ということは1mm=0.04秒となります。また、心電図では1mmを1コマといいます。
では押さえるべき不整脈についてみていきましょう。
不整脈で押さえる不整脈8種類を3pointで分類してみよう
“不整脈で押さえる8種類”を“不整脈を読む3point”でまとめたフローチャートです。
1.P波を探す
2.QRS波を探す
3.PQ時間 or R-R間隔(P-P間隔)を見る
不整脈を読む3pointで分類すると上図のようになります。
では個々の不整脈について、心電図を見ていきましょう。
AF(心房細動)
・P波が無い
・基線に不規則なノコギリ波
・RR間隔が不規則
AFL(心房粗動)
・P波が無い
・基線に不規則なノコギリ波
・RR間隔が規則正しい
次に”心室性”の頻脈、PVC(心室性期外収縮)・VF(心室細動)についてです。
PVC(心室性期外収縮)
・P波が無い
・QRS波の幅が広い
・QRS波とT波が反対方向
PVC2連はPVCが2連続、3連とは3連続で出ることを言います。
また、PVCが理解できればNSVT(非持続性心室頻拍)、VT(心室性頻拍)、R on Tを押さえることができます。
NSVT(非持続性心室頻拍)
・PVCが4~8個連続する
VT(心室頻拍)
・PVCが連続する
R on T
・PVCがT波に乗る(T波と重なる)
VF(心室細動)
・R波やT波の区別がつかない
心室細動の心電図はもし心電図が分からなくても、ヤバそうって思うはずです。
SSS(洞不全症候群)
・P波の後にQRS波がある
・PP間隔が伸びる
1°A-VB(1度房室ブロック)
・PQ時間が0.2秒以上
2°A-VB(2度房室ブロック)
・PQ時間は一定
・QRSは何拍目かに1つ脱落
2度房室ブロックではPQ時間が徐々に延長し、QRSが脱落してしまうWenckebach(ウェンケバッハ)型と、PQ時間は一定のまま突然QRSが脱落してしまうMobitz(モビッツ)Ⅱ型があります。
ここでは予後がより重篤なMobitz(モビッツ)Ⅱ型を記載しています。
Mobitz(モビッツ)Ⅰ型はないのか気になると思いますが、Mobitz(モビッツ)Ⅰ型の別名がWenckebach(ウェンケバッハ)型のことです。
間違えやすいのでWenckebach(ウェンケバッハ)型という用語が用いられているのだと思います。
3°A-VB(3度房室ブロック)
・P波とQRS波は全く無関係
・PQ時間は不規則
A-VB(房室ブロック)は1度~3度まであり、重症になるにつれて数字が大きくなります。
SSS(洞不全症候群)、2°AVB(2度房室ブロック)のMobitz(モビッツ)Ⅱ型、3°AVB(3度房室ブロック)はペースメーカー治療の適応となります。
まとめ
まずは8種類の不整脈を押さえましょう!
②AFL(心房粗動)
③PVC(心室性期外収縮)
-NSVT(非持続性心室頻拍)
-VT(心室性頻拍)
-R on T
④VF(心室細動)
⑤SSS(洞不全症候群)
⑥1°A-VB(1度房室ブロック)
⑦2°A-VB(2度房室ブロック)
⑧3°A-VB(3度房室ブロック)
________
このブログが書籍になりました。『心電図最後の教科書【NEXT STEP】~薬剤性不整脈編~』