フィブラート系薬剤であるリピディル®/トライコア®(フェノフィブラート)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
フィブラート系薬剤は脂質異常症(高脂血症)の中でもトリグリセリド(中性脂肪)が高い病態などに対して使用される薬剤です。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『リピディル®IF, 2022年5月(第10版)』のことです。
Contents
リピディル®/トライコア®(フェノフィブラート)薬物動態情報
適応
- 高脂血症
用法用量
- フェノフィブラート 1回106.6~160mg 1日1回食後経口投与
年齢、症状により適宜減量。最大量160mg/day
バイオアベイラビリティ
- 該当資料なし(IF:P.23より)
<参考>ラット64%、イヌ39%
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
分布容積(Vd)
- 該当資料なし(IF:P.23より)
データがなく、特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 該当資料なし(IF:P.23より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 尿中排泄率64%
※未変化体+代謝物
※72時間までのデータ
(IF:P.27より)
上記データは未変化体+代謝物のデータであること、また採集時間72時間<半減期×4と採集時間がみじかいため、データとしては適していませんでした。
そのためAeからは腎排泄型(Ae≧70)、腎・肝混合型(Ae=30~70)、肝代謝型(Ae≦30)の特徴付けができませんでした。
抽出比
Ae・クリアランスが不明のため、腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- 99%(IF:P.23より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.99=0.01
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 20.36時間(IF:P.21より)
その他
- 代謝物が薬効を示す(プロドラッグ)
- フェノフィブラートは吸収後、消化管及び血中エステラーゼによりそのほとんどがフェノフィブリン酸(FA)に代謝される。また、FAはヒトの場合、初回通過効果の影響はほとんど受けない。(IF:P.26より)
- FAはCYP2C9による代謝を阻害した。(IF:P.26より)
- 主排泄経路:腎臓(IF:P.27より)
- 血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上またはクレアチニンクリアランスが40mL/min未満の腎機能障害のある患者は禁忌
- 血液透析によって除去されない(IF:P.27より)
- 横紋筋融解症の発現に注意
リピディル®/トライコア®(フェノフィブラート)薬物動態情報まとめ
リピディル®/トライコア®(フェノフィブラート)の特徴
- 腎排泄型
- プロドラッグ
- 代謝物フェノフィブリン酸(FA)が薬効を示す
- FAはCYP2C9による代謝を阻害
- ER、EH、Vd(b): 特徴づけ不可
- fuP:0.01→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:該当資料なし
- 半減期:20.36時間
- Cre≧2.5mg/dLまたはCLCr<20mL/minの腎機能障害は禁忌
- 透析:除去されない
- 横紋筋融解症の発現に注意