【尿酸生成抑制薬】薬物動態情報まとめ&同等量換算&使い分け
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この記事では尿酸生成抑制薬(キサンチンオキシダーゼ阻害薬)の薬物動態的特徴と薬剤の使い分けについて記載しています。

尿酸生成抑制薬は主に高尿酸血症・痛風にたいして使用される薬剤です。

現在尿酸生成抑制薬は、
• ザイロリック®(アロプリノール)
• フェブリク®(フェブキソスタット)
• トピロリック®(トピロキソスタット)
の3種類があります。

では、尿酸生成抑制薬各薬剤にはどのような違いがあるのでしょうか?

一緒に確認していきましょう。

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【尿酸生成抑制薬】薬物動態情報まとめ&同等量換算&使い分け

作用機序

尿酸は肝臓でプリン体がキサンチンオキシダーゼ(XO)により代謝され生成されます。XO阻害薬はXOのはたらきを阻害することで、プリン体から尿酸への代謝を抑え、体内での尿酸の生成を阻害することにより、尿酸値を低下させ、高尿酸血症や痛風などの病態を改善する効果が期待できる薬剤です。

物動態情報

特徴づけ

薬物動態情報から分かることは、アロプリノールは腎排泄型、フェブキソスタットとトピロキソスタットは肝代謝型の薬剤ということです。

アロプリノールは腎機能により投与量を調節する必要があります。

腎機能(クレアチニンクリアランス:CLCr)による投与量の目安
  • CLCr<30ml/min:50mg/day
  • 30≦CLCr<50ml/min:50-100mg/day
  • CLCr>50ml/min:100-300mg/day

同等量換算

アロプリノール300 mg (腎機能正常)
≒フェブキソスタット40 mg
≒トピロキソスタット120‐160 mg

日本で実施された非劣性試験を参考にして同等量換算をしました。(文献は上から参考文献1~4としてページ下部に記載しています。)

また腎機能(クレアチニンクリアランス:CLCr)によるアロプリノール投与量の目安は下記となります。
・CLCr<30ml/min:50mg/day
・30≦CLCr<50ml/min:50-100mg/day
・CLCr>50ml/min:100-300mg/day

つまりCLCr30ml/min未満の高度腎機能障害の場合、同等量は以下となります。

アロプリノール50mg
≒フェブキソスタット40mg
≒トピロキソスタット120~160mg

尿酸生成抑制薬の使い分け

  • アロプリノール:腎排泄型、1日2~3回(腎機能により用法用量調節あり)
    添付文書には上記記載ありますが、腎機能に問題ない場合でも100mgを1日1回で開始し必要に応じて調節していくこと多いです。
  • フェブキソスタット:肝代謝型、1日1回
  • トピロキソスタット:肝代謝型、1日2回

 

  • 腎機能に問題ない場合:アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット
  • 腎機能が低下している場合:アロプリノール(投与量調節)、フェブキソスタット、トピロキソスタット

      結論から言うと、どれを選んでも良いかなと思います。

      個人的には医師に提案する場合は1日1回内服で済むアロプリノールかフェブキソスタットを提案しています。トピロキソスタットでも良いのですが、絶対にトピロキソスタットを選んだほうが良いという報告もなく、1日2回でもよいのならって感じです。ほんとにどれを選んでも良い・・・けど他にも挙げるなら、記載時点ではトピロキソスタットだけまだ後発品がないので薬価が高くなる点は選択する優先順位は低くなるかなって感じですね。

      あと一応記載しておくと、日本では尿酸生成抑制薬の適応は痛風・高尿酸血症です。フェブキソスタットは米国、欧州、韓国では「痛風患者における高尿酸血症」、カナダでは「痛風患者における血清尿酸値の低下」の効能・効果で承認を得て5)いて、ただ尿酸値が高いだけでは適応がありません。

      ガイドライン6)でも無症候性高尿酸血症は薬剤を考慮する前に、アルコールの摂取制限も含めた生活習慣の改善を行う必要があるとされています。生活指導後も血清尿酸値が9.0 mg/dL以上の無症候性高尿酸血症患者(尿路結石を含む腎障害や心血管病のリスクと考えられる高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの合併症を有する場合は、血清尿酸値8.0 mg/dL以上)では、血清尿酸値を低下させるために薬物治療開始を考慮するとされています。

      安易に「尿酸値が高い→内服が必要」とならないようにしたいですね。

      『【尿酸生成抑制薬】薬物動態情報まとめ&同等量換算&使い分け』まとめ

      • 腎排泄:アロプリノール
      • 肝代謝:フェブキソスタット、トピロキソスタット
      • 同等量換算
        アロプリノール300 mg (腎機能正常)
        ≒フェブキソスタット40 mg
        ≒トピロキソスタット120‐160 mg
      • CLCrによるアロプリノール投与量の目安
        ・CLCr<30ml/min:50mg/day
        ・30≦CLCr<50ml/min:50-100mg/day
        ・CLCr>50ml/min:100-300mg/day
      • 尿酸生成抑制薬は現状どれを選択しても良い
      • 安易に「尿酸値が高い→内服」とならないようにする

       

      参考文献

      1)Kamatani N, Fujimori S, Hada T, et al. An allopurinol-controlled, randomized, double-dummy, double-blind, parallel between-group, comparative study of febuxostat (TMX-67), a non-purine-selective inhibitor of xanthine oxidase, in patients with hyperuricemia including those with gout in Japan: phase 3 clinical study. J Clin Rheumatol. 2011;17(4 Suppl 2):S13-18.

      2)Kamatani N, Naoyuki K, Fujimori S, et al. An allopurinol-controlled, multicenter, randomized, open-label, parallel between-group, comparative study of febuxostat (TMX-67), a non-purine-selective inhibitor of xanthine oxidase, in patients with hyperuricemia including those with gout in Japan: phase 2 exploratory clinical study. J Clin Rheumatol. 2011;17(4 Suppl 2):S44-49.

      3)Hosoya T, Ogawa Y, Hashimoto H, Ohashi T, Sakamoto R. Comparison of topiroxostat and allopurinol in Japanese hyperuricemic patients with or without gout: a phase 3, multicentre, randomized, double-blind, double-dummy, active-controlled, parallel-group study. Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics. 2016;41(3):290-297.

      4)Hosoya T, Sasaki T, Ohashi T. Clinical efficacy and safety of topiroxostat in Japanese hyperuricemic patients with or without gout: a randomized, double-blinded, controlled phase 2b study. Clinical Rheumatology. 2017;36(3):649-656.

      5)フェブキソスタット申請資料概要

      6)高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版(2019年改訂)、日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改定委員会編集

       

       

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