意外と知らない?手首式測定器の正しい血圧測定方法
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「自宅で血圧測定していますか?」と聞くことはあっても「測定器は手首式か上腕式か?」や「どのように測定しているか」と測定の手技まで確認している方はどれだけいるでしょうか?

家庭での血圧測定の有無についてはよく確認し測定記録を見せてもらっていますが、測定が上腕式か手首式かの確認や、手首式の場合正しく測定できているかどうかという手技に関することは確認していませんでした。(というより正しく測定されていると思って、信じて見ていました。)

この記事を読んでくださっているアナタはどうでしょう?

看護師さんが退院のときに血圧測定してくださいと伝えるときも「血圧を測定して、記録して、外来に持ってきてくださいね」と伝えるだけで良い人も確かにいますが、そういう人ばかりではありません。

また、患者さんと話していると、自宅で血圧を測定するよう言われたときに「上腕式の家庭用血圧測定器のほうが良い。」と言われた人は多いですが、なぜ上腕式が良いのか?手首式はダメなのか?という話まで事前に聞いたという人はあまりいない印象があります。

上腕式をすすめられても手首式の血圧測定器を選択する人もいます。取扱説明書等を見て理解してもらえれば良いですが、使えると思って取扱説明書に目を通さない人も一定数いるでしょう。それでも測定器を使用し血圧測定をするという動作はできると思います。ただ、間違った測定方法で得られた結果だと、せっかく測定しているのにもったいないですよね。

 

この記事で一緒に
①“なぜ”手首式に比べて上腕式が推奨されるのか?
②手首式血圧測定器で正しく血圧測定するためのポイントとは?
について考えて学んでいきましょう。

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 家庭用血圧測定器の種類

家庭用血圧測定器には上腕式、手首式とあります。

これは測定するカフ(腕帯)を上腕に巻くか手首に巻くかです。

上腕式が正しい血圧が測定しやすいということは聞くかもしれませんが、なぜ測定しやすいのか?(なぜ正しい血圧値が得られやすいのか?)知っていますか。

せっかく測定するのですから、上腕式、手首式の血圧測定器の違いを理解し、正しく血圧を測定しましょう。

上腕式でも自分でカフ(腕帯)を巻きつける腕帯巻きつけタイプと腕を入れるだけの全自動タイプ(アームイン)があります。

家庭血圧の基準

一般に家庭での測定値は、病院よりもリラックスした環境で測定できるため病院で測定するよりも低めになります。そのため基準値も家庭血圧で少し低く設定されています。家庭血圧の基準では、「収縮期血圧が135mmHg以上、かつ/または拡張期血圧が85mmHg以上」が高血圧です。

 

ただ収縮期血圧が130mHg135mmHg未満だからといって正常な血圧と思ってはいけません。正常血圧とは115mmHg未満 かつ 65mmHg未満のことです。

125134mmHg かつ/または 7584mmHgは高値血圧です。注意しましょう。

 実際に測定する習慣をつけていると、高くなってきたら早く気付けますし注意しようとなりますよね。

 家庭で血圧測定を行うメリット

家庭での血圧測定には、大きなメリットと役割があります。

  • 時間を決めて毎日同じ条件で、また安定した状態で測定できるので、より正確で詳細な血圧情報を把握することができる。
  • 測定値を記録しておくことで、患者さん自身の健康管理の目安となる。
  • 薬物療法を受けている場合は、測定値の記録を確認する場合は薬の持続時間や効果を評価する資料となる。
  • 病院では把握しにくい白衣高血圧や仮面高血圧を診断する貴重な情報となる。

しかし、メリットを得るためには正しい測定方法で測定する必要があります。

家庭血圧の測定方法

血圧測定に適した環境

血圧測定をする場合に、正しい測定結果を得るために整えるべき環境について知っておかなければなりません。では環境について具体的に見ていきましょう。

室温:寒くも暑くもないストレスを感じない室温(20℃前後)に調整しましょう。特に冬場など寒い部屋での測定は、血圧を上昇させるので注意が必要です。これは寒くなると、ヒト(恒温動物)は体温を逃がさないように血管が収縮するためです。また、ストレスが交感神経を刺激して血管を収縮させるので血圧が上昇しやすくなります。

正しい姿勢:背もたれのある椅子に座って測定します。背もたれに寄り掛からないと十分にリラックスできず、測定値が高くなると言われています。血圧計のカフは心臓の高さに併せます。椅子の前にテーブルをおいて腕を安定させると良いでしょう。

静かな環境:会話をすると血圧が上昇します。会話を交わさない環境で測定しましょう。

 

リラックスできる、興奮しない(交感神経が活性化しない)、(無意識でも)体に負担のかからない環境が重要ということですね!

測定するタイミング

朝晩各1回以上測定します。

医師の指示によっては複数回測定し、平均値を記録することもあります。

  • 朝:起床後1時間以内、排尿後、朝の服薬前、座った姿勢で5分ほど安静にした後
  • 晩:就床前(飲酒や入浴の後)、座った姿勢で5分ほど安静にした後

その他医師から測定タイミングの指示があればそのタイミングで実施します。

歩いたり、飲食したり入浴したりすると血圧は上昇するため、血圧測定時には椅子などに腰掛け、体の力を抜いて5分ほど安静にしてから測定しましょう。

正しい測定方法

  • 上腕式(巻きつけ式)はカフの高さは肘のくぼみから12cm上、人指し指が1本入る程度の余裕をもって巻く。
  • 上腕式(アームイン)は前かがみにならないこと。(前かがみになると、腹圧によって血圧が上昇してしまいます。)
  • 手首式は手首の骨にかからないように、手首と手のひらの境目から1~1.5cm離して、すき間ができないようにぴったりと巻く。
  • 血圧はカフをきつく巻くと高くでる、ゆるく巻くと低く出る。
  • カフを心臓の高さに合わせて測定する。

上腕式と手首式血圧測定器の測定方法の違い

正しい血圧値を測定するために知っておくべき最大のポイント

※測定する位置を心臓の高さに合わせる

これは上腕式も手首式も同じです。違うのは心臓の高さへの合わせやすさです。

上腕は心臓の高さがほとんど同じです。そのため無意識でもだいたい高さは合っています。

上腕式が正しい血圧値が測定しやすく推奨される理由ですね。

手首式は自分で手首の高さを心臓の高さと合わせる必要があります。

これが手首式の正しい測定方法です。

手首の位置が心臓より低い位置にあると…血圧は高く出る傾向があります。

手首の位置が心臓より高い位置にあると…血圧は低く出る傾向があります。

手首の高さが心臓の高さと異なっていると、血圧は正しく測れません。

上腕式と手首式のメリット・デメリット

正しい測定方法で測定できれば、上腕式でも手首式でも得られる血圧値は基本的には同じです。基本的にというのは手首の解剖学的特性から動脈の圧迫が保証されない場合があるからです。

上腕式と手首式の比較
  • 大きさ:手首式<上腕式(巻きつけ式)<上腕式(アームイン)
  • 価 格:手首式<上腕式(巻きつけ式)<上腕式(アームイン)
  • 正確性:手首式<上腕式

手首式のメリットはコンパクトで持ち運びができることと比較的価格が安いことです。デメリットは腕の高さで測定値が変わるため、上腕式に比べて正しく測定できない理由に測定者の要因があることです。 

上腕式(巻きつけ式)は大きさも価格も手首式と上腕式(アームイン)の間ですね。一般的に手首式よりは正確性が高いのがメリットです。デメリットとまでいっていいのか分からないですが、手首式より大きいです。 

上腕式(アームイン)のメリットは一般的に手首式よりは正確性が高い点と、腕を通すだけで測定がラクということです。巻くのが大変という人にはいいと思います。デメリットは大きく場所をとることと、家族で使う場合は人によってイスの高さ等を調整する必要があることが考えられます。

メリット デメリット
手首式

・コンパクトで持ち運びができる

・比較的価格が安い

・腕の高さが測定値が変わる

・手首の解剖学的特性から動脈の圧迫が保証されない場合がある

上腕式
(巻きつけ式)
・手首式より正確性が高い ・手首式より大きい
上腕式
(アームイン)

・手首式より正確性が高い

・腕を通すだけでラク

・大きく場所をとる

・価格が高い

手首式がオススメな人
  • コンパクトなものが良い方
  • なるべく安いものが良い方
  • 手首を心臓と同じ高さに合わせることができる方
上腕式(巻きつけ式)がオススメな人
  • より正確な値を測定したい方
  • 上腕式(アームイン)のように場所をとりたくない方
上腕式(アームイン)がオススメな人
  • 巻くのが面倒、自分でうまく巻けない方

オススメな人について記載しましたが、血圧測定器には上腕式、手首式という違いだけでなく、正しい高さかどうかを確認するものや、スマートフォンと連動し血圧を記録してくれるものなど、それぞれ使い勝手や付加機能も異なるので、毎日無理なく持続可能な自分に合った血圧計を選んでみてください。

あ、〇〇〇〇ウォッチは正式な血圧計ではないので、あくまでも参考値として捉えてくださいね。家庭血圧をしっかり測定したい人、するよう医師に言われた方は血圧計を購入して測定しましょう。

まとめ

家庭で血圧測定をするためには適切な環境と正しい姿勢で行うことが必要です。

適切な環境
  • 適切な室温(20℃前後)
  • 静かな部屋
  • 5分ほど安静
正しい姿勢
  • 背もたれによりかかってリラックスする
  • カフの位置を心臓の高さに合わせる

 記事冒頭の
①“なぜ”手首式に比べて上腕式が推奨されるのか?
②手首式血圧測定器で正しく血圧測定するためのポイントとは?
ですが、

①については手首の解剖学的特性から動脈の圧迫が保証されない場合があるためという点もありますが、この記事でお伝えしたいのは

  • 上腕式の方がカフの位置を心臓の高さに合わせやすいため。
  • 手首式はカフの位置を心臓の高さに自分で合わせる必要がある。

ということです。

 

つまり、上腕式・手首式ともに

カフの位置は心臓の高さに合わせる!

これがこの記事で一番伝えたかったことです。

 

手首式で手首の位置が心臓より低い位置にある場合は、血圧は高く出る傾向があります。

もし、血圧高いから薬増やそうとなったときに手首の位置が低いだけで測定方法が間違っていたとしたら飲む必要がない薬を飲むことになるかもしれません。

 

最後にもう一度、手首式はカフを巻いた手首の位置を自分で心臓の高さに合わせる必要があります。

 

正しい血圧測定が健康管理、薬物療法管理の目安となります。

正しい血圧測定を理解し、日々の血圧測定を行いましょう。

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