心不全に対する強心薬は心臓のドーピング
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心不全の薬物療法に用いられる薬の作用は、血圧・体重・尿量などの指標で効果が分かりやすい目に見える作用と、心臓を護る・心臓の負担を減らすなど予後を改善するような効果が分かりにくい目に見えにくい作用があるとコチラの記事で記載しました。

しかし、強心薬は直接的には尿量を増やしたりするわけではありませんし、予後を改善するような効果も認められていません。

また、心不全を重い荷物を運ぶ状態をイメージとすると、強心薬は無理やり心臓から血液を押し出すドーピングのようなイメージとお伝えしました。

この記事では経口強心薬であるジギタリス製剤とPDE-Ⅲ阻害薬について異なる部分も含めイメージをまとめていきたいと思います。

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経口強心薬(ジギタリス製剤)

ジギタリス製剤の特徴
  • 目に見える作用:脈拍を下げる、心不全自覚症状の改善
  • 注意する副作用:ジギタリス中毒
  • 薬:先発医薬品名(成分名)
    ・ジゴシン®(ジゴキシン)
    ・ラニラピッド®(メチルジゴキシン)

強心作用は前負荷の改善でも、後負荷の改善でもありません。

心臓の収縮力を強めて、むりやり送りだしている状態です。ドーピングのようなものです。

薬を使って、むりやり頑張っている状態にしていますので、(もちろん必要な人はいますが)長期的な使用は望まれません。

また、ACE-IARBMRA・β1受容体遮断薬のときに話したような心臓を護ったり、心臓の負担を減らすといった効果はありません。

心不全以外にも心房細動等の頻脈に対して脈拍低下を目的に使用されます。

 

ジギタリス中毒はPVCや房室ブロックなど致死的な不整脈が発現する可能性があり、初期症状として悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状に注意が必要です。

また、ジギタリス製剤は腎排泄型の薬剤なので、高齢・腎機能低下患者への投与には注意が必要です。

経口強心薬(PDE-Ⅲ阻害薬)

PDE-Ⅲ阻害薬の特徴
  • 目に見える作用:心不全自覚症状の改善
  • 注意する副作用:心室細動などの不整脈、肝機能障害
  • 薬:医薬品名
    ・ピモベンダン

PDE-Ⅲ阻害薬も強心薬です。

ジギタリス製剤との違いは、まず脈拍低下作用がないことです。

 

コチラの記事の心不全の『原因4.不整脈』に記載していますが、

心拍出量(1分間に心臓から送り出した血液量)は

心拍出量=1回に送りだす血液×心拍数

で表すことができます。

 

強心作用は心拍出量を増やすということですが、

ジギタリス製剤は、

心拍出量(↑)=1回に送りだす血液(↑↑)×心拍数(↓)

となりますが、

PDE-Ⅲ阻害薬は、

心拍出量(↑)=1回に送りだす血液(↑)×心拍数(↔)

となります。

 

また、PDE-Ⅲ阻害薬には血管拡張作用もあります。

そのため、血圧が低下する可能性もあります。

強心薬は直接的には尿量を増やしたりするわけではないと記載しましたが、間接的には尿量を増やす可能性があります。

心拍出量が増えて、腎血流量も増えるからです。

利尿剤と強心薬を併用する場合は、腎血流量が増加して尿量も増えるので脱水のリスクが高くなる可能性があります。

腎障害がさらに悪化する可能性があるので注意が必要です。

まとめ

  • ジゴキシン製剤:強心作用+脈拍低下作用
  • PDE-Ⅲ阻害薬:強心作用(+血管拡張作用)

目的:心不全自覚症状の改善

高齢、腎機能低下患者への投与は特に注意が必要

 

 

 

 

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