Vaughan Williams分類Ⅰb群に分類される抗不整脈薬アスペノン®(アプリンジン)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『アスペノン®カプセルIF, 2021年8月(第9版)』のことです。
Contents
アスペノン®(アプリンジン)薬物動態情報
適応
- 頻脈性不整脈
用法用量
- アスペノン® 1回20mg 1日2回経口投与(効果不十分時は1日3回(60mg/day)まで増量可)
バイオアベイラビリティ
- 40%(50mg単回経口投与時のAUC 1.16μg・hr/mLと50mg単回静注投与時のAUC 2.90μg・hr/mLから算出)
(IF:P.21より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 定常状態の分布容積(Vdss/F)
651±228L(25mg 単回経口投与、健康成人5例)
511±140L(50mg 単回経口投与、健康成人5例)
251±102L(100mg 単回経口投与、健康成人5例)
(IF:P.21より)
経口投与による見かけの分布容積であり特徴づけに用いることはできませんでした
全身クリアランス(CL)
- 総クリアランス(CL/F)
68.5±14.2L/hr(25mg単回経口投与、健康成人5例)
50.6±22.1L/hr(50mg単回経口投与、健康成人5例)
13.4±8.00L/hr(100mg単回経口投与、健康成人5例)
(IF:P.21より)
経口クリアランスであり特徴づけに用いることはできませんでした。
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 0.7%
健康成人(n=5)にアプリンジン塩酸塩100mgを単回経口投与したときの未変化体、及び代謝物の尿中排泄率はそれぞれ未変化体0.7%、DEAP 0.3%、p-OHAP 6.6%、i-OHAP 37.0%であり、総排泄率は44.6%であった。(IF:P.23より)
Ae≦30より肝代謝型の薬剤といえます。
抽出比
経口クリアランスであり腎抽出比(ER)、肝抽出比(EH)の特徴づけに用いることはできませんでした。
タンパク結合率
- 94~97%
(IF:P.22より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.94=0.06
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 約8~16時間
(IF:P.19より)
その他
- 治療上有効な血中濃度:0.25~1.25μg/mL
- 中毒域は2.0μg/mL以上と考えられる
- 薬物代謝酵素CYP2D6により代謝される
- 透析除去率:該当資料なし(タンパク結合率が高く、透析による影響をうけにくいと考えられる)
アスペノン®(アプリンジン)薬物動態情報まとめ
アスペノン®(アプリンジン)の特徴
- Vaughan Williams分類:Ⅰb群
- Ae=0.7%→肝代謝型(Ae≦30)
- ER、EH、Vd(b)→特徴づけ不可
- fuP=0.06→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:40%
- 半減期:8~16時間
- CYP2D6により代謝される
- 治療上有効な血中濃度:0.25~1.25μg/mL
- 中毒域:2.0μg/mL以上
- 透析除去率:該当資料なし(影響を受けにくい)