SGLT2阻害薬は尿に糖を出すことで血糖を下げる薬です。
SGLT2阻害薬は現在6薬剤発売されています。
今回はその中の1つである、カナグル®(カナグリフロジン)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
カナグル®は2022年6月20日に慢性腎不全(2型糖尿病合併)の適応を取得しました。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『カナグル®IF, 2019年12月(第9版)』のことです。
Contents
カナグル®(カナグリフロジン)薬物動態情報
用法用量
- 2型糖尿病、慢性腎臓病(2型糖尿病合併)
カナグリフロジン 1回100mg 1日回 食前or食後 経口投与
バイオアベイラビリティ
- 約65%
(IF:P.74より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
データなし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 見かけの分布容積(平均値±SD):229±46L
(IF:P.18より)
見かけの分布容積であり、特徴づけに用いることはできませんでした。
全身クリアランス
- 見かけの総クリアランス(平均値±SD):15.78±3.04L/h
(IF:P.18より)
見かけのクリアランスであり、特徴づけに用いることはできませんでした。
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 健康成人(外国人、6 例)に、[14C]標識カナグリフロジン192mgを単回経口投与したとき、投与後24 時間までの血漿中総放射能に占める未変化体及び代謝物の割合は、カナグリフロジン(45.4~98.7%)、グルクロン酸抱合代謝物M5(1.9~29.6%)及びM7(16.0~28.8%)及び酸化代謝物M9(2.42~3.70%)であった。(IF:P.77より)
- 健康成人(外国人、6 例)に、[14C]標識カナグリフロジン192mgを単回経口投与したとき、投与後168 時間までに、投与された放射能の32.5%が尿中に、60.4%が糞中に排泄された。投与後48 時間までの尿中にカナグリフロジンは認められず、M5(13.3%)及びM7(17.2%)が認められた。また、糞中には、カナグリフロジン(41.5%)、M7(3.2%)及びM9(7.0%)が認められた。(IF:P.78より)
- [14C]標識カナグリフロジン10mg を単回静脈内投与したとき、投与後70.25 時間までに投与された放射能の34.1%が糞中に回収されたことから、胆汁排泄を介した糞中排泄が消失経路の一つであると考えられた。(IF:P.78より)
文章よりAe≦30と推定され、肝代謝型の薬剤と考えられます。
抽出比
見かけのクリアランスのため、特徴づけを行うことはできませんでした。
タンパク結合率
- ヒト血漿蛋白結合率約98%(in vitro、限外濾過法)
(IF:P.76より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.98=0.02
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 11.7時間
(IF:P.71より)
カナグル®(カナグリフロジン)薬物動態情報まとめ
カナグル®(カナグリフロジン)の特徴
- 適応:2型糖尿病、慢性腎臓病(2型糖尿病合併)
- Ae≦30と推定→肝代謝型
- 薬剤消失経路:肝代謝+胆汁排泄
- Vd(b)、ER、EH:特徴づけ不可
- fuP:0.02→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:65%
- 半減期:11.7時間