ルプラック®(トラセミド)はループ利尿薬に分類される利尿薬です。
ではルプラック®の薬物動態情報について見ていきましょう。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『ルプラック®IF, 2019年9月(第11版)』をさしています。
Contents
ルプラック®(トラセミド)薬物動態情報
用法用量
ルプラック® 1日 1回 4~8mg経口投与 適宜増減
バイオアベイラビリティ
- 85%
79~91%(外国人データ)(IF:P.23より)
→85%(中間値)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- データなし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 11.4L
<参考>外国人でのデータ(静脈内投与後に算出)
Vb(L):若年者(11.4±2.96),高齢者(13.89±4.16)
(IF:P.23より)
本記事では若年者のVdを使用します。
Vd(b)≦Vd/(B/P)=11.4/0.5=22.8
目安値であり、傾向としては細胞外分布型(Vd(b)≦20)寄りの薬剤となるのではないかと考えます。
全身クリアランス
- ―
<参考>外国人でのデータ(トラセミド錠 5mg を 1 回経口投与した時の腎クリアランス)CLr(mL/min):若年者(11.7±3.5),高齢者(8.1±2.7)
(IF:P.23より)
パラメータが経口クリアランスであり不確実性があるため特徴づけには適さないと判断しました。
尿中未変化体排泄率(Ae)
- ―
健康成人にトラセミド 2,5,10mg を空腹時単回経口投与したとき,24 時間後の代謝物及び未変化体尿中排泄率は 50~80%であった。このうち 20~30%が未変化体(トラセミド)であった。
(IF:P.27より)
パラメータが経口クリアランスであり不確実性があるため特徴づけには適さないと判断しました。
抽出比
- ―
パラメータが経口クリアランスであり不確実性があるため特徴づけには適さないと判断しました。
タンパク結合率
- 98~99%
血漿蛋白結合率:98~99%
(IF:P.23より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.98=0.02
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 2時間
投与後約1 時間で最高血漿中濃度に達し、消失半減期は約2 時間であった(IF:P.21より)
その他
- 抗アルドステロン作用を有するため、ナトリウムに比べカリウムの排泄が少ないとされています。
抗アルドステロン作用のメリットは心保護効果です。
純粋なミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)と抗アルドステロン作用が同等とは考えてはいけないと思いますが、抗アルドステロン作用を持つことはトラセミドのメリットだと思います。
ルプラック®(トラセミド)薬物動態情報まとめ
- Ae、ER、EH:特徴づけできず
- Vd(b)≦22.8→細胞外分布型(Vd(b)≦20)の可能性が高い
- fuP=0.02→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:85%
- 半減期:2時間
- 抗アルドステロン作用をもつループ利尿薬