食物アレルギーの場合、食事には注意を払うと思いますが、医薬品についてはどうでしょうか。
実は医薬品にも卵や牛乳・乳製品、小麦、大豆、ゼラチンといった成分が含まれているものがあります。
薬剤師がアレルギーを確認しているのに、アレルゲン物質が含まれている医薬品を渡してしまう…知らずに飲んでしまう…といったことは避けたいですよね。
ということで、この記事では
- 食物アレルギーとは?
- 食物アレルギーある場合に投与を注意するべき薬剤
といった内容について記載しています。
Contents
食物アレルギーがある場合に投与を注意するべき薬剤とは?
食物アレルギーとは
食物アレルギーとは、ある特定の食べ物を食べたり、触れたりした後にアレルギー反応があらわれる疾患です。食物アレルギーの原因物質(アレルゲン)は、主に食べ物に含まれるタンパク質です。アレルゲンの上位3つは鶏卵34.7%、牛乳22.0%、小麦10.6%で全体の67.2%を占めています。1)
食物アレルギーの有症率は、乳児期が最も高く加齢とともに漸減していきます。子どもの頃の食物アレルギーは多くが耐性獲得し成長に伴い徐々に原因食物が食べられるようになりますが、大人の食物アレルギーは、耐性獲得しにくく、原因食物の継続的な除去が必要なことが多いと考えられています。
食物アレルギーの主な症状は下記です。
- 軽い症状:かゆみ、じんましん、唇や瞼の腫れ、嘔吐、喘鳴
- 重篤な症状:意識障害、血圧低下などのアナフィラキシーショック
また、誤食の原因食物は年齢によらず、鶏卵、牛乳、小麦が多いようです。
食品のアレルギー表示について
食品は食品衛生法によりアレルギー表示が義務づけられています。
- 表示の義務がある7品目:乳、卵、小麦、そば、落花生(ピーナッツ)、えび、かに
- 表示が推奨されている21品目:アーモンド、いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、バナナ、やまいも、カシューナッツ、もも、ごま、さば、さけ、いか、鶏肉、りんご、まつたけ、あわび、オレンジ、牛肉、ゼラチン、豚肉
食品アレルギーと投与に注意するべき薬剤
医薬品にも卵、乳、小麦といった食品アレルギーの原因物質が含まれていることがあるので注意が必要です。製造工程で該当物質を用いるものや添加剤として使用されます。
食品は分かりやすいところに食品のアレルギー表示が記載されていますが(身のまわりの食品の容器・外包装をみてみてください)、医薬品はぱっとわかりやすいところに表示されていません。
では、どこを見れば分かるかというと、医薬品添付文書の“組成”の部分に含有成分が記載されています。医薬品によっては禁忌など注意喚起してくれているものもありますが、多くは含有成分のひとつとして該当成分が記載されているだけです。おそらく意識して見ないとスルーしてしまうのではないでしょうか。
この記事では、食物アレルギーの有症率・誤食の原因食物として多い鶏卵、牛乳、小麦に加え、大豆、ゼラチンについてまとめました。(まとめの表はPDFとしてご活用いただくこともできます。)
薬剤によっては同医薬品成分でも後発品のメーカーによって含まれているもの、含まれていないものがあったりしますので添付文書等でご確認くださいね。
卵
牛乳・乳製品
小麦
大豆
ゼラチン
『食物アレルギーがある場合に投与を注意するべき薬剤とは?』まとめ
- 食物アレルギーの原因物質(アレルゲン)上位3つは鶏卵34.7%、牛乳22.0%、小麦10.6%で全体の67.2%を占めている
- 誤食の原因食物は年齢によらず、鶏卵、牛乳、小麦が多い
- 主な食物アレルギーの症状
・軽い症状:かゆみ、じんましん、唇や瞼の腫れ、嘔吐、喘鳴
・重篤な症状:意識障害、血圧低下などのアナフィラキシーショック - 医薬品にも食品アレルギーの原因食物が含まれているものがある
- 食品アレルギーの原因食物は医薬品の製造工程で使用されていたり、添加剤として用いられている。
- 添加物等の含有成分は医薬品添付文書の“組成”の部分に記載されている。
- 食物アレルギーのある患者に投与する際に注意が必要な薬剤
(リンクより記事内添付のまとめ表を参照してください)
薬剤師が薬の説明をするときなどに「アレルギーはないですか?」と聞くのは、薬剤に含まれる原因物質が誤って投与されないようにするためでもあります。(もし薬をもらうまでに時間がかかっていても原因物質が含まれていないか確認しているかもしれませんのでお待ちくださいね。)
食物アレルギーと医薬品は意外と見逃しがち?なので食物アレルギーの訴えがあったときは、添付文書も確認するようにしてくださいね。