抗血小板薬・抗凝固薬の説明「出血傾向に注意してください」って何?
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抗血小板薬、抗凝固薬など血液をサラサラにする薬剤を内服している方にどのように薬の説明をしていますか?

 

薬剤情報提供書のテンプレートに

「出血傾向に注意してください」とか

「けがに注意してください。」とか

「青あざや紫斑ができやすくなります。」とか

書いてあるのをそのまま伝えるだけになっていないでしょうか?

 

まず、この「出血傾向に注意してください」ってどういうことでしょうか?

 

次に、注意するのは分かった、でも注意していても出血してしまうことはあります。

その時どうすればよいのか、それが説明を聞いていて知りたいことのはずです。

 

出血したときの対応は?

日頃から特に気を付けるべき出血ってナニ?

 

ということで、

 

出血傾向と注意すべき出血について一緒に考えていきましょう。

 

結論だけ知りたいという方はまとめまで飛んでくださいませ。

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抗血小板薬・抗凝固薬の説明「出血傾向に注意してください」を考えてみる

出血傾向とは、出血しやすい状態のことです。

「出血傾向に注意してください」ってあいまいですよね。

でも実際には個人差があります。

 

例えば、年齢を重ねるにつれて毛細血管ももろくなっていきます

毛細血管が破れて出血しやすい状態です。

つまり、あざができやすい状態となります。

 

「気付いたら出血していた」といわれることありませんか?

これは毛細血管がもろくなっていて、刺激により破れて出血したと考えられます。

出血しやすさには抗血小板薬・抗凝固薬は関与していませんよね。

 

作用機序からもなんとなく分かっていただけるのではないかなと思います。

 

抗血小板薬は「血小板凝集を抑制する」という作用です。

例えば切り傷にたいして血小板凝集するとかさぶたができます。

「血小板凝集を抑制する」ということはかさぶたができるまで時間がかかるということになります。

つまり止血しにくいということですよね。

 

抗凝固薬なんてそのまんまですよね。

血が固まらないようにする薬ですね。

 

抗血小板薬、抗凝固薬を飲んでいる人は「出血しやすい」ではなくて「止血しにくい」が正しい表現です。

(抗血小板薬の消化管潰瘍による出血は薬により作り出された出血しやすい状態という意見もあるかもしれませんが、作用機序的にということでここではスルーしてください。)

 

「出血傾向に注意してください」とは言い換えると、

「止血しにくいから、出血しないように注意してね」となります。

 

「止血しにくいから」の部分が省略されて、

「出血しないように注意してください」とか

「出血傾向に注意してください」となるわけです。

出血症状時の対応

  • あざ:経過観察(色の濃さ、大きさ)
  • 鼻血:鼻をつまむ
  • 切り傷:圧迫止血
  • 歯肉出血:柔らかい歯ブラシに変更する
  • 血尿・血便:受診

上記で対応できるケースがほとんどだと思いますし、基本的に問題ないと考えられます。

あとは定期受診時の血液検査等でフォローされているはずですので、通院を自己中断しないようにすることが大事です。(たまに中断してしまう人いる…)

また、上記以外にも気になる症状があれば受診時等に医療従事者に伝えるように説明することも大事ですね。

薬剤指導例

出血傾向に対する注意(指導例)

血液をサラサラにする薬が出ていますので出血に注意してください。

例えば、切ってしまったときに血が止まりにくいとか、内出血ができやすくなってしまう。

でも心配はしなくて大丈夫です。

切り傷は止血、ちゃんと圧迫して押さえていただければ止まりますし、内出血も時間はかかるかもしれませんが徐々に色が薄くなっていくはずです。

これらのように目に見える出血は自分自身でも確認できるので特に問題ありませんが、目に見えない出血には注意が必要です。

例えば、おしっこの中に血が混じる(血尿)とか、お通じの中に血が混じる(血便)とかです。

自分の体の中を自分で確認することはできませんから、可能な限り早く受診して(抗血小板薬・抗凝固薬を)処方してもらっている医師に伝えましょう。

また、他の病院や歯医者に受診するときは必ず血液をサラサラにする薬を飲んでいることを伝えましょう。

お薬手帳に薬のことは書いてありますから必ず持ち歩いてくださいね。

専門用語を使うと相手に伝わらない可能性もありますので、伝わる表現を選択することが大事です。

専門用語を使っても、言い換えるのであれば良いと思います。

例えば、血尿という言葉を出したときに、続けて「おしっこの中に血が混じることです」言い換えてあげるのであればそれでOKです。

患者さんが気になっていること、意外と多い発言や質問とその回答(体験談)

出血しやすくなるってなんか心配…

何が一番気になっているのかを確認しましょう。

相手の気になる症状に対し対応を説明しましょう。

なんとなく心配という方もいます。

自分で対応できる出血であれば焦る必要はない旨伝え、不安を取り除いてあげましょう。

また、血尿・血便を見つけたら早期受診について理解していただきましょう。

気付いたらあざができているんだけど…

時間の経過とともにあざの色の濃さ、大きさを確認しましょう。

大きくなっている場合は出血が止まっていない可能性がありますので注意が必要です。

ふくらんできて、血種となってくるようであれば医師へ見てもらいましょう。

時間はかかっていても色が薄くなってきていれば、改善傾向であると考えます。

歯医者で治療できないの?

かかりつけの歯医者で治療ができるかできないかは歯科医が判断することです。

もし、できない場合は大学病院等を紹介されるかもしれません。

薬を飲んでいることを伝えると、医療者側も薬を飲んでいない場合より止血の準備が必要とか治療前の心構えができると思います。

事前に想定していることはおおごとになりにくいですが、想定外のことがおこるとバタバタしますよね。

また、血液サラサラにする薬を休薬可能かどうかは基本処方した医師が判断すると思います。

例えば、冠血管疾患で最近ステント治療をした方が抗血小板薬を休薬するとその間にステント血栓症、つまりステント治療した場所が詰まってしまうかもしれません。

今は休薬できないけど○カ月後なら休薬可能ですよとなるかもしれませんし、処方医にも歯科治療を受けたい旨を相談するといいですね。

指導のポイント

相手の不安を取り除くこと

人は分からないことに対して不安になります。

そのためこれから起こりうること、起きた場合にどうすれば良いかを説明してあげる必要があります。

血尿、血便の自覚症状があれば受診が必要です。

出血の中でも血尿、血便が自分で症状を自覚できるなかで一番重大ですよね。

重大なことを外さないことが大事です。

その他の出血は基本的にそこまで心配ないですよ、と伝えることも大切です。

特に注意が必要なことを最後におさらいする

たくさん伝えても全部は覚えることができなかったり、忘れてしまうことありますよね。

なので絶対に押さえてもらいたいポイントを最後にまとめましょう。

患者さんが飲んでいるのは抗血小板薬・抗凝固薬だけではありません。

全部説明した最後に今回の説明の中で特に重要なことをおさらいしてあげましょう。

そのうえで気になることはないか確認できるといいですね。

抗血小板薬・抗凝固薬の「出血傾向に注意してください」まとめ

  • 抗血小板薬、抗凝固薬は「出血しやすい」ではなくて「止血しにくい」が正しい表現
  • 自分で対応できる出血自分で対応できない出血に分けられる
自分で対応できる出血と対応
  • あざ:経過観察(色の濃さ、大きさ)
  • 鼻血:鼻をつまむ
  • 切り傷:圧迫止血
  • 歯肉出血:柔らかい歯ブラシに変える
自分で対応できない出血と対応
  • 血尿・血便:受診

 

  • 注意すべき出血=自分で対応できない出血
  • 自分で対応できない出血を認めた場合は、可能な限り早く受診してもらう

 

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