パナルジン®(チクロピジン)薬物動態情報
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パナルジン®(チクロピジン)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。

 

P2Y12受容体阻害薬の第1世代チエノピリジン系薬剤であるチクロピジンは、血小板凝集を抑制する薬剤です。

また、チクロピジンは血栓性血小板減少性紫斑病、無顆粒球症、重篤な副作用が報告され過去に2度緊急安全性情報(イエローレター)が出ている薬剤です。

 

各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。

 

本記事中のIFは『パナルジン®IF, 2021年2月(第13版)』のことです。

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パナルジン®(チクロピジン)薬物動態情報

用法用量

〈虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)に伴う血栓・塞栓の治療〉
パナルジン® 1回200~300mg 1日2~3回経口投与

 

適応には記載がありませんが、『経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患』にも使用されていました。

しかし、クロピドグレル発売以降チクロピジンの処方は減っていきました。

プラスグレル発売以降、チクロピジンの処方は昔からずっと飲んでいる人の継続処方でしか見ていません。

よほどのことがないと新規で開始することはないと思います。

バイオアベイラビリティ

  • 吸収率90%以上
    (IF:P.31より)

小腸上部で吸収され肝で代謝されて不安定な活性代謝物を生成し、肝を通過中の血小板の膜に非可逆的な変化を与える。
(IF:P.31より)

全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)

該当資料なし

分布容積(Vd)

該当資料なし
(IF:P.31より)

全身クリアランス

該当資料なし
(IF:P.31より)

尿中未変化体排泄率(Ae)

健康成人男子において未変化体の尿中排泄は極めて少なく、チクロピジン塩酸塩250mg投与後24時間までの累積で投与量の0.01~0.02%が排泄されたに過ぎない。
(IF:P.34より)

肝代謝型の薬剤といえます。

抽出比

データなし

タンパク結合率

血漿蛋白の結合率はヒト血清アルブミン(HSA)で86.7%、ヒト血清で97.8%
(IF:P.31より)

タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。

血漿中遊離形率(fuP)=1-0.867=0.133

fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。

半減期

  • 1.61時間
    (IF:P.29より)

その他

  • 作用は非可逆的
  • 未変化体は直接血小板に作用しない
  • CYP2C9、CYP2C19、CYP3A4で代謝される
  • 活性代謝物は非常に不安定であり、生体内寿命が短いために単離されず化学構造は決定されていない
  • 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症、重篤な肝障害等の重大な副作用が主に投与開始後2ヵ月以内に発現し、死亡に至る例も報告されている
  • チクロピジン200mg投与患者の血小板凝集率が投与前の50%から7日間投与後は35%と有意に抑制(IF:P.26)
    →血小板凝集抑制率=(0.5-0.35)/0.5=0.3=30%
  • 血小板凝集抑制率:20~30%(PMID: 32092903
  • 作用発現時間:3~4日(PMID: 32092903
  • 作用消失時間:11~13日(PMID: 32092903

パナルジン®(チクロピジン)薬物動態情報まとめ

パナルジン®(チクロピジン)の特徴
  • 肝代謝型
  • Vd(b)、ER、EH、バイオアベイラビリティ:データなし
  • fuP=0.133→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
  • 半減期:1.61時間
  • CYP2C9、CYP2C19、CYP3A4阻害作用を持つ薬剤との併用に注意
  • 血小板に非可逆的に作用
  • 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症、重篤な肝障害等の重大な副作用がある
  • 血小板凝集抑制率:20~30%
  • 作用発現時間:3~4日
  • 作用消失時間:11~13日

 

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