抗アレルギー薬である第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬アレロック®(オロパタジン)について薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『アレロック®IF, 2021年10月(第2版)』のことです。
Contents
アレロック®(オロパタジン)薬物動態情報
適応
〈成人〉
- アレルギー性鼻炎
- じん麻疹
- 皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症、尋常性乾癬、多形滲出性紅斑)
〈小児〉
- アレルギー性鼻炎
- じん麻疹
- 皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒
用法用量
- 成人
アレロック® 1回5mg 1日2回朝・就寝前経口投与 - 7歳以上の小児
アレロック® 1回5mg 1日2回朝・就寝前経口投与 - 2歳以上7歳未満の小児(顆粒)
アレロック® 1回2.5mg 1日2朝・就寝前回経口投与
バイオアベイラビリティ
- 該当資料なし(IF:P.54より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
該当資料なし
分布容積(Vd)
- 見かけの分布容積(Vdβ/F):305±109L(IF:P.55より)
見かけの分布容積のため特徴づけできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 見かけの全身クリアランス(CL/F):19.33±3.57L/hr(IF:P.55より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 58.7~73.4%(IF:P.61より)
オロパタジンの臨床効果に代謝物M1及びM3の寄与する程度は低く(その他参照)、
腎排泄型の薬剤といえます。
抽出比
みかけのクリアランスのため、腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- 54.7~55.2%(IF:P.55より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.55=0.45
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。
半減期
- 9.68±4.45hr(IF:P.55より)
その他
- 代謝酵素:CYP3A4
- 未変化体のAUC に対する代謝物のAUC 比は、代謝物M1では約1%、M3では約7%と大部分が未変化体として存在し、代謝物は少ない。(IF:P.59より)
- オロパタジン塩酸塩を経口投与後の臨床効果に代謝物M1及びM3の寄与する程度は低い(IF:P.60より)
- 透析除去率:13%
(IF:P.53より)
血液透析患者非透析日:AUC 5,293 ± 846(ng・h/mL)
血液透析患者透析日:AUC 4,608 ± 986(ng・h/mL)
4608/5293=0.87
1-0.87=0.13 - クレアチニンクリアランスが2.3~34.4mL/minの腎機能低下患者及び健康成人(各6例)にオロパタジン塩酸塩錠10mgを朝食後単回経口投与したとき、健康成人と比較して、腎機能低下患者のCmaxは2.3倍、AUCは約8倍であった。(IF:P.51より)
- 脳内ヒスタミンH1 受容体占拠率:約14%1)(図より読み取り)(20%以下→非鎮静性)
- <重要な基本的注意>眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。→自動車運転不可
- AU TGA pregnancy category:B1
- US FDA pregnancy category:C
アレロック®(オロパタジン)薬物動態情報まとめ
アレロック®(オロパタジン)の特徴
- 腎排泄型
- ER、EH、Vd(b)→特徴づけ不可
- fuP=0.45→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
- バイオアベイラビリティ:該当資料なし
- 半減期:9.68時間
- 健康成人と比べて腎機能低下患者のCmaxは2.3倍、AUCは約8倍
- 透析除去率:13%
- 非鎮静性
- 自動車運転不可
- AU TGA pregnancy category:B1
- US FDA pregnancy category:C
参考資料
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- 谷内一彦:薬理作用から見た理想的な抗ヒスタミン薬治療.日耳鼻 2020;123:196-204.