強心薬であるラニラピッド®(メチルジゴキシン)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『ラニラピッド®IF, 2020年10月(第8版)』のことです。
Contents
ラニラピッド®(メチルジゴキシン)薬物動態情報
適応
- うっ血性心不全
- 心房細動・粗動による頻脈、発作性上室性頻拍
用法用量
- ラニラピッド® 1回0.05~0.1mg 1日1回経口投与
バイオアベイラビリティ
- ほぼ100%(IF:P.14より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
分布容積(Vd)
- Vdss/F:9.45(L/kg)
(IF:P.13より)
みかけの分布容積ですが、代謝物ジゴキシンの分布容積が大きく細胞内分布型の薬剤となります。
全身クリアランス(CL)
- CLtot/F:10.74(L/h)
(IF:P.13より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 40.6%(144時間)
(IF:P.16より)
代謝物ジゴキシンの半減期35~48時間であり、144時間(5×半減期(hr)未満)では計測時間がみじかいと考えられる。
抽出比
みかけのクリアランスのため腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- 29.8±3.4%
(IF:P.15より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.298=0.702
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。
半減期
- 該当資料なし
- ジゴキシンの半減期:35~48時間(ジゴシン®注IF, 2018年5月(第12版)、P.10より)
その他
- 有効血中濃度:0.5~0.8ng/mL(心不全)1)
- 主に脱メチル化によりジゴキシンに代謝される(IF:P.15より)
- 主な代謝酵素は肝薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)3Aが考えられている(IF:P.16より)
- 腎排泄を主経路とし、糸球体濾過とP糖蛋白質を介する尿細管分泌により尿中に排泄される(IF:P.16より)
ラニラピッド®(メチルジゴキシン)薬物動態情報まとめ
ラニラピッド®(メチルジゴキシン)の特徴
- 腎排泄型
- 細胞内分布型
- fuP=0.7→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
- バイオアベイラビリティ:ほぼ100%
- 主に脱メチル化によりジゴキシンに代謝
- 半減期:35~48時間(ジゴキシンの半減期)
- P-糖蛋白阻害作用を持つ薬剤との併用に注意