ビラノア®(ビラスチン)薬物動態情報
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抗アレルギー薬である第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬ビラノア®(ビラスチン)について薬物動態情報を見ていきたいと思います。

各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。

本記事中のIFは『ビラノア®IF, 2023年9月(第10版)』のことです。

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ビラノア®(ビラスチン)薬物動態情報

適応

  • アレルギー性鼻炎
  • 蕁麻疹
  • 皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒

用法用量

ビラノア® 1回20mg 1日1回空腹時経口投与

バイオアベイラビリティ

  • 絶対的バイオアベイラビリティ平均値:60.67%(IF:P.47より)

健康成人男性20例を対象に空腹時又は高脂肪食(900kcal以上で、総エネルギーに対する脂質の占める割合が35%以上)後に本剤20mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に比べ食後投与時のAUC0-tは1283.53ng・hr/mLから770.59ng・hr/mLへ約40%、Cmaxは277.86ng/mLから120.18ng/mLへ約60%低下し、tmaxは1.03時間から3.03時間に延長したことから、本剤の経口投与では食事の影響を受け、バイオアベイラビリティが有意に低下する(IF:P.45より)

全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)

該当資料なし

分布容積(Vd)

  • 見かけの分布容積:286.08±243.24L(IF:P.47より)

見かけの分布容積のため特徴付けできませんでした。

全身クリアランス(CL)

  • 見かけのクリアランス:16.23±6.31L/hr(IF:P.47より)

尿中未変化体排泄率(Ae)

尿中未変化体排泄率47%

  • [14C]-ビラスチン20mgを健康成人に単回経口投与したとき、尿、糞及び血漿中には主として未変化体が存在した。尿中には3種の代謝物(投与量の1%未満)、血漿中には2種の代謝物(未変化体濃度の1/10以下)の存在が確認されたが、いずれも低濃度であり、同定できなかった。(IF:P.49より)
  • 健康成人男性6例に[14C]-ビラスチン20mgを単回経口投与したとき、最終測定時間である168時間までの放射能の尿中排泄率は33.1%、糞中排泄率(未吸収部分を含む)は67.0%であった。168時間までの総排泄率は100.1%であることから、ビラスチン及び代謝物は体内に残存しないと考えられた。(IF:P.49より)
  • 投与後48時間までの放射能の累積尿中排泄率が32.7%、糞中排泄率が47.8%、総排泄率が80.4%であり、ビラスチン及び代謝物由来の放射能は経口投与後48時間に大部分が体内から排泄されることが確認された。このときの未変化体の累積排泄率は尿中で28.31%(0~48時間)、糞中で66.53%(0~96時間)であり、[14C]-ビラスチン経口投与後に尿及び糞中に排泄される放射能のほとんどが未変化体であった。(IF:P.49より)

絶対的バイオアベイラビリティが約60%なので、60%が血中に移行したと考えます。48時間までの未変化体尿中排泄率は28.3%なので、換算するとAe=28.3/60=47%となります。

代謝物は未変化体濃度の10%以下が2種類、1%未満が1種類なので多く見積もっても20%となります。これは体内に入った薬物の20%となるので、バイオアベイラビリティ60%の20%、60×0.2=12%ということです。

糞中には未吸収分のデータも含まれているとありますが、バイオアベイラビリティ60%より吸収されなかったのは40%と考えることができますので、67-40=27と、おおよそ27%程度が体内に吸収された後に糞中排泄(未変化体+代謝物)となったと考えることができます。

まとめると、体内に吸収される薬物60%のうち尿中未変化体排泄率約47%、代謝物12%以下となります。

上記より、Ae=30~70%となるので、腎・肝混合型(中間型、胆汁排泄あり)となります。

抽出比

みかけのクリアランスのため、腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。

タンパク結合率

  • 男性87.03~90.04%、女性84.22~86.00%(IF:P.49より)

タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.84=0.16
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。

半減期

  • 10.54時間(IF:P.42より)

その他

  • 透析除去:該当資料なし(IF:P.49より)
  • 健康成人(12例)を対象に、本剤20mg、ヒドロキシジン25mg及びプラセボを二重盲検、クロスオーバーでそれぞれ単回経口投与し、脳内ヒスタミンH1受容体占拠率を検討した結果、本剤による大脳皮質のヒスタミンH1受容体の占拠は認めなかった(IF:P.29より)→非鎮静性
  • 健康成人18例(21〜45歳、平均29.5歳、中央値26.5歳)を対象に、本剤20mg、本剤40mg、ヒドロキシジン50mg及びプラセボを二重盲検、クロスオーバーでそれぞれ1日1回8日間反復経口投与し、ドライビング試験により自動車運転能に及ぼす影響を評価したとき、本剤の自動車運転能に及ぼす影響はプラセボと有意な差を認めなかった(IF:P.29より)→自動車運転可
  • AU TGA pregnancy category:記載なし
  • US FDA pregnancy category:記載なし

ビラノア®(ビラスチン)薬物動態情報まとめ

ビラノア®(ビラスチン)の特徴
  • Ae=47%→腎・肝中間型(30<Ae<70)
  • ER、EH、Vd(b):特徴づけ不可
  • fuP≦0.16→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
  • バイオアベイラビリティ:60%
  • 半減期:10.54時間
  • 透析除去:該当資料なし
  • 非鎮静性
  • 自動車運転可
  • AU TGA pregnancy category:記載なし
  • US FDA pregnancy category:記載なし

 

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