Vaughan Williams分類Ⅳ群に分類される抗不整脈薬ベプリコール®(ベプリジル)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『ベプリコール®錠IF, 2022年4月(第12版)』のことです。
Contents
ベプリコール®(ベプリジル)薬物動態情報
適応
- 持続性心房細動
- 頻脈性不整脈(心室性)
用法用量
- ベプリコール® 1回100~200mg 1日2回経口投与
バイオアベイラビリティ
- 59±18%
(IF:P.20より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 8.0±5.3L/kg
(IF:P.20より)
体重60kgの場合、Vd=240L
Vd(b)≦Vd/(B/P)=240/0.5
Vd(b)≦480L
Vd(b)≧50(細胞内分布型)、Vd(b)=20~50(分布中間型)、Vd(b)≦20(細胞外分布型)すべての可能性があるため特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 5.31±2.48mL/min/kg
(IF:P.20より)
体重60kgの場合、CL=318.6ml/min
尿中未変化体排泄率(Ae)
尿中には投与後24時間までに約24%、7日までに約50%が排泄された。(IF:P.22より)
測定データが未変化体か不明であり、また測定時間が7日=168時間でありと半減期(80時間)×5の時間よりも短い時間での測定のため、特徴づけに用いることはできませんでした。
抽出比
Aeが不明のため、抽出比を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- 98.74%
(IF:P.21より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.99=0.01
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 約80時間
(IF:P.19より)
その他
- 治療上有効な血中濃度:該当資料なし
<参考>ベプリジル塩酸塩水和物200mg/日(分2)連続投与し、定常状態に達した時の血中濃度:430ng/mL(IF:P.19より) - 透析除去率:該当資料なし(IF:P.23より)
- 主に関与する薬物代謝酵素はCYP2D6であり、CYP2C9及びCYP3A4も関与する可能性が示唆された。(IF:P.22より)
- ベプリジルはトランスポーターOCT1を強く阻害する(in vitro)。またP-gpを阻害する。(IF:P.22より)
トランスポーター(P-gp、OCT1)についてはコチラの記事を参照してください。
ベプリコール®(ベプリジル)薬物動態情報まとめ
ベプリコール®(ベプリジル)の特徴
- Vaughan Williams分類:Ⅳ群
- 肝代謝型(腎排泄の程度はIFの情報からは不明)
- ER、EH→特徴づけ不可
- Vd(b)≦480L→特徴づけ不可
- fuP=0.01→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:59%
- 半減期:80時間
- 定常状態に達した時の血中濃度:430ng/mL
- 透析除去率:該当資料なし
- 薬物代謝酵素CYP2D6で主に代謝される。
- OCT1を強く阻害、P-gpを阻害する。