Vaughan Williams分類Ⅰa群に分類される抗不整脈薬ピメノール®(ピルメノール)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『ピメノール®IF, 2021年8月(第14版)』のことです。
Contents
ピメノール®(ピルメノール)薬物動態情報
適応
- 頻脈性不整脈(心室性)
用法用量
- ピメノール® 1回100mg 1日2回経口投与
バイオアベイラビリティ
- 82.6±23.6%
(IF:P.15より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- データなし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 99.29±21.86L
(IF:P.16より)
Vd(b)≦Vd/(B/P)=99.29/0.5=198.5L
Vd(b)≦198.5L
Vd(b)≧50(細胞内分布型)、Vd(b)=20~50(分布中間型)、Vd(b)≦20(細胞外分布型)すべての可能性があり、特徴づけできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 13.83±3.47L/hr
(IF:P.16より)
単位をml/minに換算すると、
230.5ml/min
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 23.3%(48時間までのデータ)
(IF:P.18より)
Ae≦30より肝代謝型の薬剤といえます。
腎クリアランス(CLR)=CL×Ae=230.5×0.233=53.7ml/min
肝クリアランス(CLH)=CL-CLR=230.5-53.7=176.8ml/min
抽出比
- 腎抽出比
ER≦CLR(ml/min)/(B/P)/QR(ml)=53.7/0.5/1200=0.0895
ER≦0.0895
ER<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。
- 肝抽出比
EH≦CLH(ml/min)/(B/P)/QH(ml)=176.8/0.5/1600=
EH≦0.221
EH<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。
タンパク結合率
- 80%前後
(IF:P.16より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.8=0.2
fuP=0.2とタンパク結合依存境界型の薬剤といえます。
(参考)
fuP>0.2→タンパク結合非依存型の薬剤
fuP<0.2→タンパク結合依存型の薬剤
半減期
- 約7~11 時間
(IF:P.14より)
その他
- ピルメノールに抗コリン作用があり、その作用に基づくと思われる排尿障害、口渇、霧視等の症状があらわれることがある
- 最小有効血漿中濃度:0.4μg/mL(IF:P.14より)
- 血液透析による透析除去率:6.9±1.7%(IF:P.18より)
- CYP3A4で代謝される?
代謝酵素の記載はないがリファンピシンとの相互作用の記載あり
リファンピシンにより代謝酵素が賦活され、本剤の血中濃度が低下すると考えられる。(IF:P.22より)
→リファンピシンは肝代謝酵素CYP3A4を誘導する薬剤であることから、ピルメノールはCYP3A4で代謝されると考えられる。
ピメノール®(ピルメノール)薬物動態情報薬物動態情報まとめ
ピメノール®(ピルメノール)の特徴
- Vaughan Williams分類:Ⅰa群
- Ae=23.3%→肝代謝型(Ae≦30)
- ER≦0.0895→消失能依存型(ER<0.3)
- EH≦0.221→消失能依存型(EH<0.3)
- Vd(b)≦198.5L→特徴づけ不可
- fuP=0.2→タンパク結合依存境界型
- バイオアベイラビリティ:82.6%
- 半減期:7~11時間
- CYP3A4で代謝?
- 有効血中濃度:0.4μg/mL
- 透析除去率:6.9%