Vaughan Williams分類Ⅱ群に分類されるミケラン®(カルテオロール)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIF錠は『ミケラン® IF, 2021年8月(第11版)』のことです。
Contents
ミケラン®(カルテオロール)薬物動態情報
適応
- ミケラン®錠5mg
本態性高血圧症(軽症~中等症)、心臓神経症、不整脈(洞性頻脈、頻脈型不整脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮)、狭心症 - ミケラン®細粒1%
心臓神経症、不整脈(洞性頻脈、頻脈型不整脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮)、狭心症 - ミケラン®LAカプセル15mg
本態性高血圧症(軽症~中等症)
LAカプセルには不整脈の適応はありません。またLAはLong Actingの略です。
用法用量
- ミケラン®錠5mg・細粒1%
1回5mg 1日2~3回経口投与
効果不十分時1日30mgまで増量可
(錠5mg=細粒1% 0.5g) - ミケランLAカプセル15mg
1回15mg 1日1回朝食後経口投与
効果不十分時1日1回30mgまで増量可
バイオアベイラビリティ
- 83.7%
(IF:P.24より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 4.05L/kg
(IF:P.24より)
体重60kgの場合、Vd=243L
Vd(b)≦Vd/(B/P)=243/0.5
Vd(b)≦486L
Vd(b)≧50(細胞内分布型)、Vd(b)=20~50(分布中間型)、Vd(b)≦20(細胞外分布型)すべての可能性があるため特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 10.13mL/min/kg
(IF:P.24より)
体重60kgの場合、CL=607.8ml/min
尿中未変化体排泄率(Ae)
健康成人にカルテオロール塩酸塩として10、15及び30mg投与後の排泄率は24時間までに、64%、70%及び76%であった。
健康成人男子にミケランLAカプセル15mgを1カプセル単回投与した場合、その50~70%が未変化体として尿中に排泄される。
(IF:P.22より)
LAカプセルのデータですがAe=50~70%
Ae=30~70%より腎・肝混合型(中間型)の薬剤といえそうです。
Ae=50として計算すると、
腎クリアランス(CLR)=CL×Ae=607.8×0.5=303.9ml/min
肝クリアランス(CLH)=CL-CLR=608.8-303.9=303.9ml/min
抽出比
- 腎抽出比
ER≦CLR(ml/min)/(B/P)/QR(ml)=303.9/0.5/1200
ER≦0.5065
ER<0.3(消失能依存型)、0.3≦ER≦0.7(中間型)どちらの可能性もあるため特徴付けできませんでした。
- 肝抽出比
EH≦CLH(ml/min)/(B/P)/QH(ml)=303.9/0.5/1600
EH≦0.3799
EH<0.3(消失能依存型)0.3≦EH≦0.7(中間型)どちらの可能性もあるため特徴付けできませんでした。
タンパク結合率
- 約15%
(IF:P.24より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.15=0.85
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。
半減期
- 錠・細粒:記載なし(グラフ読み取りで約6時間)(IF:P.22より)
- LAカプセル:7~10時間(IF:P.22より)
その他
- CYP2D6で代謝される(IF:P.25より)
- 治療上有効な血中濃度:臨床効果と血漿中濃度の明らかな相関は得られていない。(IF:P.22より)
- 透析除去率:該当資料なし
ミケラン®(カルテオロール)薬物動態情報まとめ
- Vaughan Williams分類:Ⅱ群
- 腎・肝中間型(30<Ae<70)
- ER、EH、Vd(b)→特徴づけ不可
- fuP=0.85→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
- バイオアベイラビリティ:83.7%
- 半減期:6時間
- CYP2D6で代謝される
- 治療上有効な血中濃度:臨床効果と血漿中濃度の明らかな相関は得られていない
- 透析除去率:該当資料なし