抗アレルギー薬である第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬タリオン®(ベポタスチン)について薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『タリオン®IF, 2018年1月(第13版)』のことです。
Contents
タリオン®(ベポタスチン)薬物動態情報
適応
<成人>
アレルギー性鼻炎,蕁麻疹,皮膚疾患に伴う掻痒(湿疹・皮膚炎,痒疹,皮膚掻痒症)
<小児>
アレルギー性鼻炎,蕁麻疹,皮膚疾患(湿疹・皮膚炎,皮膚掻痒症)に伴う掻痒
用法用量
<成人>
タリオン® 1回10mg 1日2回経口投与(適宜増減あり)
<小児(7歳以上)>
タリオン® 1回10mg 1日2回経口投与
バイオアベイラビリティ
- 約82%(IF:P.32より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
該当資料なし
分布容積(Vd)
- 見かけの分布容積:89.4L(IF:P.32より)
見かけの分布容積のため特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 見かけの全身クリアランス:27.9L/hr(IF:P.32より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 76.4~87.9%(IF:P.35より)
Ae≧70より腎排泄型の薬剤といえます。
抽出比
みかけのクリアランスのため、腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- 約55%(IF:P.32より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.55=0.45
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。
半減期
- 2.4時間(IF:P.27より)
その他
- 透析除去率:約40%(IF:P.35より)
- 脳内ヒスタミンH1 受容体占拠率:約15%1)(図より読み取り)(20%以下→非鎮静性)
- 〈重要な基本的注意〉眠気を催すことがあるので,本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。本剤の承認時までの副作用発現頻度は9.5%(137/1,446)であり,そのうち5.7%(83/1,446)が眠気の副作用であったこと,及び一般的に同種・同効薬に同様の記載があるため。(IF:P.36より)→自動車運転注意必要
- AU TGA pregnancy category:記載なし
- US FDA pregnancy category:Not assigned.
タリオン®(ベポタスチン)薬物動態情報まとめ
タリオン®(ベポタスチン)の特徴
- Ae:76.4~87.9%→腎排泄型(Ae≧70)
- ER・EH・Vd(b):特徴づけ不可
- バイオアベイラビリティ:82%
- 半減期:2.4時間
- 透析除去率:40%
- 非鎮静性
- 自動車運転注意必要
- AU TGA pregnancy category:記載なし
- US FDA pregnancy category:Not assigned.
参考資料
-
- 谷内一彦:薬理作用から見た理想的な抗ヒスタミン薬治療.日耳鼻 2020;123:196-204.