Vaughan Williams分類Ⅰb群に分類される抗不整脈薬メキシチール®(メキシレチン)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFカプセルは『メキシチール®カプセルIF, 2019年10月(第11版)』、IF注は『メキシチール®点滴静注IF, 2019年10月(第8版)』のことです。
Contents
メキシチール®(メキシレチン)薬物動態情報
適応
- カプセル・点滴静注:頻脈性不整脈(心室性)
(参考)カプセルのみ:糖尿病性神経障害に伴う自覚症状(自発痛、しびれ感)の改善
用法用量
- メキシチール®カプセル 1回100mg 1日3回食後経口投与
(不整脈に用いる場合、効果が不十分な場合は450mg/dayに増量できる。糖尿病性神経障害に用いる場合の最大量は300mg/day。) - メキシレチン®点滴静注125mg(1管)を必要に応じて生理食塩液又はブドウ糖液等に希釈し、0.4~0.6mg/kg/hrの速度で投与(シリンジポンプ使用)
バイオアベイラビリティ
- 約83%
(IFカプセル:P.26より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 不整脈患者:2.10~5.79L/kg
(IF:P.15より)
体重60kgの場合、Vd:126~347.4L
Vd(b)≦Vd/(B/P)=347.4/0.5=694.8
Vd(b)≧50(細胞内分布型)、Vd(b)=20~50(分布中間型)、Vd(b)≦20(細胞外分布型)すべての可能性があるため特徴づけできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 不整脈患者:6.01~6.30mL/min/kg
(IF注:P.15より)
体重60kgの場合、CL:360.6~378ml/min
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 約11%(24時間)
(IF注:P.17より)
半減期10.2~11.5時間より測定時間不足であるため、データとして用いることはできませんでした。
Aeからの特徴づけはできませんでしたが、肝代謝型の薬剤(IF注:P.17)です。
抽出比
Aeが不明のため、腎抽出比(ER)、肝抽出比(EH)を測定することはできませんでした。
タンパク結合率
- 51.3±2.8%
(IF注:P.15より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.513=0.487
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。
半減期
- 10.2~11.5時間
(IF注:P.17より)
その他
- 治療上有効な血中濃度
不整脈患者:0.5~2.0μg/mL
糖尿病性神経障害患者:該当資料なし - 主に薬物代謝酵素CYP1A2及びCYP2D6で代謝される
- 透析除去率:29.1±9.9%
メキシチール®(メキシレチン)薬物動態情報まとめ
メキシチール®(メキシレチン)の特徴
- Vaughan Williams分類:Ⅰb群
- 肝代謝型(Aeは不明)
- ER、EH、Vd(b):特徴づけ不可
- fuP=0.487→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
- バイオアベイラビリティ:83%
- 半減期:10.2~11.5時間
- CYP1A2・CYP2D6で代謝
- 治療上有効な血中濃度:0.5~2.0μg/mL
- 透析除去率:29.1±9.9%