抗アレルギー薬である第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬オキサトミドについて薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『オキサトミド「EMEC」IF, 2023年4月(第10版)』のことです。
先発品セルテクトは2018年8月31日で販売中止となりました。
Contents
オキサトミド薬物動態情報
適応
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚瘙痒症、湿疹・皮膚炎、痒疹
用法用量
- 成人
オキサトミド 1回30mg 1日2回朝・就寝前経口投与 - 小児
シロップ小児用0.2%
1回オキサトミドとして0.5mg/kg(シロップとして0.25mL/kg)を1日2回 朝・就寝前経口投与
1回最高用量はオキサトミドとして0.75mg/kg(シロップとして0.375mL/kg)を限度
ドライシロップ小児用2%
1回オキサトミドとして0.5mg/kg(ドライシロップとして25mg/kg)を用時水で懸濁して1日2回 朝・就寝前経口投与
1回最高用量はオキサトミドとして0.75mg/kg(ドライシロップとして37.5mg/kg)を限度
バイオアベイラビリティ
- 該当資料なし(IF:P.12より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
該当資料なし
分布容積(Vd)
- 該当資料なし(IF:P.12より)
全身クリアランス(CL)
- 該当資料なし(IF:P.12より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
排泄率は 24 時間までに尿中 36.5%、糞中 50.3%、96 時間までに尿・糞中 94.2%(IF:P.13より)
未変化体の排泄率が分からず特徴づけできませんでした。
抽出比
Ae・クリアランスが不明のため、腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- 93.3~98.7%(IF:P.12より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.933=0.067
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 5.31hr(IF:P.11より)
その他
- 代謝部位:主として肝臓(IF:P.12より)
- 代謝経路は、piperazine およびbenzimidazolone のN 位の酸化的脱アルキル化およびbenzimidazolone の芳香環水酸化(IF:P.12より)
- 透析除去:該当資料なし(IF:P.13より)
- 脳内ヒスタミンH1 受容体占拠率:約51%1)(図より読み取り)(20%以下は非鎮静性)→鎮静性
- 〈重要な基本的注意〉眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。→自動車運転不可
- AU TGA pregnancy category:データなし
- US FDA pregnancy category:データなし
オキサトミド薬物動態情報まとめ
オキサトミドの特徴
- 肝代謝型
- 代謝経路:酸化的脱アルキル化、芳香環水酸化
- ER・EH・Vd(b):特徴づけ不可
- fuP=0.067→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:該当資料なし
- 半減期:5.31時間
- 透析除去:該当資料なし
- 鎮静性
- 自動車運転不可
- AU TGA pregnancy category:データなし
- US FDA pregnancy category:データなし
先発品が販売中止となるとIF等も見られなくなるので得られるデータが減って困りますね...後発品は該当資料なしばかりですし。
参考資料
- 谷内一彦:薬理作用から見た理想的な抗ヒスタミン薬治療.日耳鼻 2020;123:196-204.