Vaughan Williams分類Ⅰa群に分類される抗不整脈薬リスモダン®(ジソピラミド)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIF注は『リスモダン®P静注IF, 2021年2月(第17版)』、IFカプセルは『リスモダン®カプセルIF, 2021年2月(第15版)』、IF錠は『リスモダン®R錠IF, 2021年2月(第15版)』のことです。
Contents
リスモダン®(ジソピラミド)薬物動態情報
適応
- カプセル
・期外収縮
・発作性上室性頻脈
・心房細動 - R錠(徐放性剤)
・頻脈性不整脈 - 静脈注射(緊急治療が必要な場合)
・期外収縮(上室性、心室性)
・発作性頻拍(上室性、心室性)
・発作性心房細・粗動
用法用量
- カプセル
リスモダン®カプセル 1回100mg 1日3回経口投与 - R錠(徐放性剤)
リスモダン®R錠 1回150mg 1日2回経口投与 - 静脈注射
リスモダン®P静注 1回50~100mg(1~2mg/kg)を必要に応じてブドウ糖液などに溶解し、5分以上かけ緩徐に静脈内に注射
バイオアベイラビリティ
- 0.67(IFカプセル:P.16より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- みかけの分布容積 11.95±2.47L(IF注:P.17より)
みかけの分布容積のため特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 該当資料なし(IF注:P.17より)
- 3.4~8.6L/hr(IFカプセル:P.16より)
→56.7~143.3ml/min
尿中未変化体排泄率(Ae)
ジソピラミドリン酸塩(ジソピラミドとして50mg)を静脈内投与した場合、投与量の約50%が約6時間、約90%が24時間で尿中に排泄された。(IF注:P.22より)
※未変化体か代謝物か明記されていない。
ジソピラミド100mg を単回経口投与した場合、投与後24時間までに遊離型47.5%、主代謝物MIP16.8%で、合わせて64.3%が尿中に排泄された。(IFカプセル:P.21より)
- Ae:47.5%
Ae=30~70%より腎・肝混合型(中間型)の薬剤といえます。
腎クリアランス(CLR)=CL×Ae=(56.7~143.3)×0.475=26.9~68.1ml/min
肝クリアランス(CLH)=CLR-CL=(56.7~143.3)-(26.9~68.1)=29.8~75.2ml/min
抽出比
- 腎抽出比
ER≦CLR(ml/min)/(B/P)/QR(ml)=68.1/0.5/1200
ER≦0.1135
ER<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。
- 肝抽出比
EH≦CLH(ml/min)/(B/P)/QH(ml)=75.2/0.5/1600
EH≦0.094
EH<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。
タンパク結合率
- 該当資料なし
<参考:ヒト血清、in vitro>
血清蛋白結合率は血清濃度依存性であり、低濃度での75%から高濃度での20%まで変化した。このことから、高濃度になるに従い血清蛋白に対する薬物結合が次第に飽和されるものと推定された。(IF注:P.17より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-(0.2~0.75)=0.25~0.8
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。
半減期
- ジソピラミド注:4.35±1.15時間(IF注:P.16より)
- ジソピラミドカプセル:6.05±1.63時間(IFカプセル:P.14より)
- ジソピラミドR錠(徐放性剤):7.77±1.90時間(IF錠:P.14より)
その他
- CYP3A4により代謝される
- 治療上有効な血中濃度
注:2~3μg/mL付近(IF注:P.16より)
カプセル・R錠:1μg/mL付近(IFカプセル・錠:P.14より) - 中毒症状を発現する血中濃度
文献上5.5μg/mL 以上との報告がある(IF注:P.16、IFカプセル・錠:P.15より) - 透析除去率:該当資料なし
リスモダン®(ジソピラミド)薬物動態情報まとめ
- Vaughan Williams分類:Ⅰa群
- Ae=47.5%→腎・肝中間型(30<Ae<70)
- ER≦0.1135→消失能依存型(ER<0.3)
- EH≦0.094→消失能依存型(EH<0.3)
- Vd(b)→特徴づけ不可
- fuP=0.25~0.8→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
- バイオアベイラビリティ:67%
- 半減期:静注4.35時間、カプセル6.05時間、徐放錠7.77時間
- CYP3A4により代謝される
- 治療上有効な血中濃度
注:2~3μg/mL付近
カプセル・R錠:1μg/mL付近 - 中毒症状を発現する血中濃度
文献上5.5μg/mL 以上 - 透析除去率:該当資料なし