セロケン®/ロプレソール®(メトプロロール)薬物動態情報
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Vaughan Williams分類Ⅱ群に分類されるセロケン®/ロプレソール®(メトプロロール)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。

 

各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。

本記事中のIF(セ)は『セロケン®錠IF, 2021年12月(第13版)』、IF(ロ)は『ロプレソール®錠IF, 2021年10月(第9版)』のことです。

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セロケン®/ロプレソール®(メトプロロール)薬物動態情報

適応

  • 狭心症
  • 頻脈性不整脈
  • 本態性高血圧症(軽症~中等症)

メトプロロールにはセロケン®L錠、ロプレソール®SR錠といった徐放製剤もありますが、これらの適応は本態性高血圧症(軽症~中等症)のみです。

用法用量

  • 1回20~40mg 1日2~3回経口投与
    (本態性高血圧症は最大240mg/day)

バイオアベイラビリティ

  • 31%(20mg)、41%(50mg)、46%(100mg) (IF(セ):P.16より)

全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)

  • 該当資料なし

B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。

分布容積(Vd)

  • 669.5L(メトプロロール40mg単回経口投与時)
    (IF(セ):P.16より)
  • 5.6L/kg
    (IF(ロ):P.11より)
    体重60kgの場合、Vd=336L

ここではVd=336Lを採用します。

Vd(b)≦Vd/(B/P)=336/0.5=672L

Vd(b)≧50(細胞内分布型)、Vd(b)=20~50(分布中間型)、Vd(b)≦20(細胞外分布型)すべての可能性があるため特徴付けできませんでした。

全身クリアランス(CL)

  • 0.72~1.54L/min
    (IF(セ):P.16より)
    ml/minに単位変換すると、CL=720~1540ml/min
  • 総クリアランス:43.2~92.4 L/h
    (IF(ロ):P.11より)
    ml/minに単位変換すると、CL=720~1540ml/min
  • 腎クリアランス(CLR):6.5 L/h
    (IF(ロ):P.11より)
    ml/minに単位変換すると、CLR=108ml/min

尿中未変化体排泄率(Ae)

  • 約5%
    (IF(セ):P.18より)

CLRの記載があるため検算します。
Ae=CLR/CL=108/(720~1540)=7~15%

数値は若干異なりますが、どちらにせよAe≦30より肝代謝型の薬剤といえます。

また肝クリアランス(CLH)を計算すると以下のようになります。
CLH=CL-CLR=(720~1540)-108
CLH=612~1432ml/min

抽出比

  • 腎抽出比
    ER≦CLR(ml/min)/(B/P)/QR(ml)=108/0.5/1200
    ER≦0.18

ER<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。

  • 肝抽出比
    EH≦CLH(ml/min)/(B/P)/QH(ml)=(612~1432)/0.5/1600
    EH≦0.765~1.79

EH<0.3(消失能依存型)、0.3≦EH≦0.7(中間型)、EH>0.7(血流速度依存型)すべての可能性があるため特徴付けできませんでした。

タンパク結合率

  • 11%(限外濾過法)
    (IF(セ):P.16より)

タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.11=0.89
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。

半減期

  • 2.8時間
    (IF(セ):P.14より)

その他

  • CYP2D6 (70~80%)で代謝される(IF(セ):P.18より)
  • 治療上有効な血中濃度:30~540nM
    β1 受容体遮断効果の最大値を運動時心拍数を約 30%抑制する効果とした場合、この最大効果の 30~80%を得るためのメトプロロールの血漿中濃度は 30~540nM と予想される。血漿中濃度-効果曲線では、200~300nM で効果は一定に達し、血漿中濃度がこれ以上増加しても、β1遮断作用が増強することはない。(IF(セ):P.14より)
  • 透析除去率:50%(IF(セ):P.19より)

セロケン®/ロプレソール®(メトプロロール)薬物動態情報まとめ

セロケン®/ロプレソール®(メトプロロール)の特徴
  • Vaughan Williams分類:Ⅱ群
  • Ae=5%→肝代謝型(Ae≦30)
  • ER≦0.18→消失能依存型(ER<0.3)
  • EH≦0.765~1.79→特徴づけ不可
  • Vd(b)≦672L→特徴づけ不可
  • fuP=0.89→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
  • バイオアベイラビリティ:31~46%
  • 半減期:2.8時間
  • CYP2D6 (70~80%)で代謝
  • 治療上有効な血中濃度:30~540nM
  • 透析除去率:50%

 

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