Vaughan Williams分類Ⅲ群に分類される抗不整脈薬シンビット®(ニフェカラント)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『シンビット®静注用IF, 2022年6月(第13版)』のことです。
Contents
シンビット®(ニフェカラント)薬物動態情報
適応
- 心室頻拍
- 心室細動
用法用量
- 単回静注法
1回0.3mg/kgを5分間かけて - 維持静注法
0.4mg/kg/hr
バイオアベイラビリティ
静注用であり、該当しない
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 0.13±0.01L/kg
(IF:P.22より)
体重60kgの場合、Vd=7.8L
Vd(b)≦Vd/(B/P)=7.8/0.5
Vd(b)≦15.6
Vd(b)≦20より細胞外分布型の薬剤といえます。
全身クリアランス(CL)
- 0.85±0.09L/hr/kg
(IF:P.22より)
体重60kgの場合、かつml/minに単位変換すると
CL=850ml/min
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 31.7±4.2%
(IF:P.26より)
Ae=30~70%より腎・肝混合型(中間型)の薬剤といえます。
腎クリアランス(CLR)=CL×Ae=850×0.317=269.45ml/min
肝クリアランス(CLH)=CL-CLR=850-269.45=580.55ml/min
抽出比
- 腎抽出比
ER≦CLR(ml/min)/(B/P)/QR(ml)=269.45/0.5/1200
ER≦0.449
ER<0.3(消失能依存型)、0.3≦ER≦0.7(中間型)の可能性があり特徴づけできませんでした。
- 肝抽出比
EH≦CLH(ml/min)/(B/P)/QH(ml)=580.55/0.5/1600
EH≦0.726
EH<0.3(消失能依存型)、0.3≦EH≦0.7(中間型)、EH>0.7(血流速度依存型)すべての可能性があり特徴づけできませんでした。
タンパク結合率
- 86.4~94.6%
(IF:P.24より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.864=0.136
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 1.53時間
(IF:P.21より)
その他
- 治療上有効な血中濃度:該当資料なし(IF:P.21より)
- 主にUDP-グルクロン酸転移酵素により代謝される(IF:P.24より)
- 透析除去率:該当資料なし(タンパク結合率が高く、透析による影響をうけにくいと考えられる)
シンビット®(ニフェカラント)薬物動態情報まとめ
シンビット®(ニフェカラント)の特徴
- Vaughan Williams分類:Ⅲ群
- Ae=31.7%→腎・肝中間型(30<Ae<70)
- ER≦0.449→特徴づけ不可
- EH≦0.726→特徴づけ不可
- Vd(b)≦15.6→細胞外分布型(Vd(b)≦20)
- fuP=0.136→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:静注薬のため該当しない
- 半減期:1.53時間
- 主にUDP-グルクロン酸転移酵素により代謝される
- 治療上有効な血中濃度:該当資料なし
- 透析除去率:該当資料なし(タンパク結合率が高く、透析による影響をうけにくいと考えられる)