論文の方法は4W1Hで概要をつかむ
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ビジネスフレームワークの基本でもある「5W1H」を聞いたことがないという方は少ないのではないでしょうか?

5W1HとはWho(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)を指し示す言葉です。

5W1Hを意識し文章を構成することで、伝えたい情報の主旨が明確になり、かつ過不足なく伝えることができます。

逆を返せば文章の読み手側も5W1Hを意識して読めば、論文の情報を過不足なく受け取ることができます。

5W1Hは論文を批判的吟味して読むうえでも活用できるんです。

論文の方法ではWhy(なぜ)を除いた4W1Hで抜け漏れなく把握していきます。

Why(なぜ)は論文の目的にあたります。論文を読むうえではWhyも当然必要ですが、方法について記載している本記事では除いています。

では論文の方法を4W1Hで見ていきましょう。

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Who(だれが)

どのような人がが研究に組み入れられるのかを確認します。

  • Inclusion criteria(介入基準):試験に組み入れられる人の基準
  • Exclusion criteria(除外基準):試験から除外される人の基準

年齢や性別、疾患、疾患の重症度、使用薬剤などの基準が記載されています。

When(いつ)

試験の組入れ期間、追跡期間を確認します。

  • 組入れ期間:試験が行われた期間
  • 試験期間:試験に組み入れられてから患者の経過を追う期間

試験の組入れ期間は、試験が行われた時代によっては標準治療や定義などが変わってくる可能性があるため確認が必要です。

追跡期間は短期間の試験なのか、長期間の試験なのかを見ます。

短期間の結果の場合、長期間使用した場合どうなるのかという疑問には答えることができません。

短期間の試験が悪いというわけではありません。試験期間が長期になればなるほど、その治療が世の中に出るのが遅くなりますので。

Where(どこで)

試験が行われた場所です。

国や地域、単施設・多施設などを確認します。

国や地域では、日本で行われた試験なのか、アジアなのか、世界中なのかによって試験に含まれる人種が変わってきます。

世界中で行われた試験でも日本が含まれている試験と含まれていない試験では情報の受け取り方が変わってきます。

薬の効き方には人種差もありますから日本が含まれている試験の方が実際の臨床には参考にしやすいですよね。

単施設・多施設について、単施設ではその施設が他の施設より良い要因・悪い要因がなにかしらあって試験の結果に影響を与える可能性もあります。

また、多施設の方が、論文に参加する人数(サンプルサイズ)も多くなるため、1人の結果に影響を受けにくくなります。

サンプルサイズが小さいと1つ大きく外れた結果があった場合に、その結果に引っ張られ影響を受けるかもしれません。

かといってサンプルサイズが大きければ大きいほど良いという話でもありません。

適切なサンプルサイズが求められていて、論文にその旨が記載されていることが読み取れれば良いと思います。

研究を行う上では事前にサンプルサイズを求める必要がありますが、論文を読むうえでは自分で計算して求める必要はありません。

What(なにを)

試験でなにを行ったのかを確認します。

どのような介入を行ったのかなど、この論文で明らかにしたい内容です。

PICOでいうところの“I”に該当します。

P:患者(Patient)
I:介入(Intervention)
C:比較(Comparison)
O:結果(Outcome)

PICOについて詳細はコチラの記事をご覧ください。

How(どのように)

どのように試験を行ったのかを確認します。

論文の批判的吟味を行ううえで方法が一番重要ですが、その中でもどのようにという部分は特に重要です。

研究を行った人たちから見て主観的になっていないか、客観的になっているかということを確認します。

介入する群と比較を行う対照群の背景に差が出ないようにどのように対策をとっているかという内容です。

客観的になるようにランダム化、盲検化などの対策をとっているか、もしくは対策が取れない場合にも影響が差が出ないような対応をとっているかを確認します。

例えば処方する医師が、良い結果が出やすいと考えられるような患者さんたちを介入群に組み入れていたとしたら、それで良い結果が出たとしたらちょっとズルいですし公平ではないですよね。

ランダム化とは介入群と比較群をランダムに仕分けることを言います。

盲検化とは患者を診る医師や患者自身が患者がどちらの群に割り振られているか分からないようにすることを言います。

このような対策をとれていれば客観的に見て公平になりますよね。

ランダム化、盲検化について詳細はコチラの記事をご覧ください。

まとめ

論文の方法についての概要は4W1Hを確認して把握しましょう。

簡単に例を挙げると下記のようになります。

4W1H
  • Who(だれが)
    20歳~80歳のLVEF40%未満の心不全患者
  • When(いつ)
    200X年○月~200Y年△月に実施された試験で追跡期間は◇年間
  • Where(どこで)
    日本含む世界20か国多施設共同で行われた
  • What(なにを)
    〇〇という薬を投与する
  • How(どのように)
    ランダム化比較試験

このように4W1Hで確認すればどのように実施された試験か漏れなく概要を把握できるということが分かっていただけたのではないでしょうか。

また、Why(なぜ)はその試験を行う目的です。5W1Hで論文の目的と方法が確認できると言うことです。

是非あなたが読みたいと思った論文で確認してみてくださいね。

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