【抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)】薬物動態情報まとめ&使い分け
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この記事では抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)の薬物動態的特徴と薬剤の使い分けについて記載しています。

抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)は主にアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患に使用される薬剤です。では、抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)にはどのような違いがあるのでしょうか?

一緒に確認していきましょう。

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【抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)】薬物動態情報まとめ&使い分け

第二世代抗ヒスタミン薬

表の項目についての記載
同等量換算について
鎮静性について
自動車の運転について
オーストラリア分類について
FDA分類について

第一世代・第二世代

初期に開発された抗ヒスタミン薬(第一世代)は強力な中枢抑制作用があるために非鎮静性抗ヒスタミン薬の開発が開始されてきました。花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患にたいして中枢移行性の少ない第二世代抗ヒスタミン薬が推奨されています。

作用機序

H1受容体は、炎症や組織傷害により遊離されたヒスタミンを感知して痛みや痒みを生じます。抗ヒスタミン薬はH 1受容体においてヒスタミンとの拮抗作用を示し、ヒスタミンの遊離を抑制し症状を抑えます。

薬物動態情報

データが得られているほとんどの薬剤でみかけのデータでした。腎排泄型の薬剤は、腎機能により投与量の調節が必要となる場合があります。

同等量換算

表の縦が同等量です。

同等量の基準1日用量はアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016の表5を参照しました。

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016の表5に記載されていない薬剤については下記の通りです。

  • デスロラタジン
    慢性蕁麻疹を対象として、デスロラタジン5mgとセチリジン10mgの有効性や安全性に有意な差は認められませんでした。(CD006137)
  • ビラスチン
    季節性アレルギー患者を対象とした国内第Ⅱ相試験においてビラスチン20mgとフェキソフェナジン120mgのTNSSの変化量は臨床的に同等な効果を示しました。安全性に関しても同様でした。(ビラノア®審査報告書p.27)

    TNSS:鼻症状(鼻汁、くしゃみ発作、鼻閉、鼻内そう痒感)の合計スコア(0~15点)

  • ルパタジン
    季節性アレルギー性鼻炎患者にルパタジン10mg、20mg、ロラタジン10mgを投与したときDTSSmeanは3群間で統計学的な優位差は認められませんでした。(ルパフィン®申請資料概要p.321)

    DTSSmean:発斑(紅斑、膨疹、総合)の総合スコア(4段階:0~3点)とかゆみ(日中及び夜間の平均)スコア(5段階:0~4点)の1日の合計スコア(0~7点)

  • フェキソフェナジン・プソイドエフェドリン配合
    FEX60mgとFEX/PSE60/120は臨床的に同程度の効果を示しました(鼻閉を除く総症状スコア;変化量FEX60mg;-2.2、FEX/PSE60/120;-2.3)。(ディレグラ®審査報告書p.14)
  • エメダスチンテープ
    季節性アレルギー性鼻炎患者を対象とした第Ⅲ相試験においてエメダスチンテープ4mg、8mg、レボセチリジン5mg群の平均鼻症状(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉)合計スコアのベースラインからの変化量はそれぞれ-1.20, -1.49, -1.32だった。(アレサガ®テープ審査報告書p.16)
    上記よりレボセチリジン5mg≒エメダスチンテープ4mgと判断しました。
  • エメダスチンカプセル
    ・エメダスチンカプセル2mgの単回投与に相当するテープ剤の投与量はCmaxで8.8-10.9mg、AUC∞で2.6-3.3mgと算出された(アレサガ®テープ審査報告書p.13)。
    ・2mgカプセル(単回);Cmax2.3 ng/mL、AUC∞20.5 ng・hr/mL(アレサガ®テープ審査報告書 p.12)
    ・テープ4mg;Cmax1.16ng/mL(1日目)、AUC24h16.3ng・hr/mL(1日目)(アレサガ®テープIF p.33)
    ・テープ8mg;Cmax2.32ng/mL(1日目)、AUC24h31.7 ng・hr/mL (1日目)(アレサガ®テープIFp.33)
    上記より経口1日量4mg≒テープ8mgと判断しました。
    (エメダスチンカプセルの用法用量は1回1-2mg 1日2回 朝食後・就寝前)

鎮静性

非鎮静性・軽度鎮静性・鎮静性についてアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016の表5を参照しました。またH1受容体占有率または各薬剤IFの記載より判断しました。

脳内ヒスタミンH1 受容体占拠率により非鎮静性・軽度鎮静性・鎮静性と分類されています。

  • 「―」→非鎮静性:H1受容体占拠率20%以下
  • 軽度鎮静性:H1受容体占拠率20~50%
  • 鎮静性:H1受容体占拠率50%以上

文献谷内一彦:薬理作用から見た理想的な抗ヒスタミン薬治療,日耳鼻,2020; 123: 196―204.の図7を見ると分かりやすいですが、内服薬で非鎮静性に該当する中ではビラスチン、フェキソフェナジンが占有率が低いという報告でした。

自動車の運転

添付文書・IF等の記載により「自動車運転可能な薬剤」「自動車運転可能だが注意を要する薬剤」「自動車運転は不可の薬剤」と分類しました。

  • 「〇」→自動車運転可能な薬剤:運転等危険を伴う機械の操作を注意させる旨の記載なし。
  • 「△」→自動車運転可能だが注意を要する薬剤:「自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。」と記載あり。
  • 「×」→自動車運転は不可の薬剤:「自動車の運転等の危険を伴う機械の操作には従事させないように十分注意すること。」と記載あり。

抗ヒスタミン薬と妊娠・授乳

オーストラリア分類

オーストラリア分類は胎児への危険度をA、B1、B2、B3、C、D、Xに分類したものです。

『医薬品使用に関する胎児危険度分類基準の評価と分類』より

(参考)FDA分類

FDA胎児危険度分類は胎児への危険度を5項目(A,B,C,D,X)に分類したものです。

『医薬品使用に関する胎児危険度分類基準の評価と分類』より

参考として載せておりますが、現在FDA分類は廃止され、『Pregnancy and Lactation Labeling (Drugs) Final Rule(PLLR)』へと切り替わっています。(分類でアルファベットを当てはめるのではなく、文章で記述する形式)

FDA分類の廃止はFDA分類では同じカテゴリーにさまざまな薬剤が含まれており、このカテゴリーだからこうだというように、臨床判断よりもカテゴリーがひとり歩きしてしまったためと考えられます。

抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)使い分け

どれを選んでも良いと思いますが最初からあえて鎮静性の高い抗ヒスタミン薬を選ばなくて良いと思います。同等量を選んでいればどの薬を選んでも基本的に大きな違いはありません。

もし鎮静性の高い抗ヒスタミン剤を使用していた場合に、眠気等で日常生活に影響が出ていてQOLが下がっていれば鎮静性の低い抗ヒスタミン薬への変更、自動車の運転頻度等によっては自動車運転の記載が禁忌でない薬剤への変更を考慮すべきです。

とはいえ前述した文献のヒスタミン占有率の図を見ると分かるように第二世代抗ヒスタミン薬では鎮静性のある薬剤は少ないことが分かるかと思います。非鎮静性でも眠気等でQOLが低下しているようであれば、よりH1受容体占有率の低いビラスチンかフェキソフェナジンに変えるのも選択肢の一つです。(両薬剤とも自動車運転可能な薬剤です。)

腎機能の重度低下の場合は肝代謝の薬剤が良いと思いますが、腎排泄か肝代謝は投与される薬剤が決まった後に投与量を考えるときに考慮するくらいで良いと思います。

その他

今回は第二世代抗ヒスタミン薬(内服薬)について記載していますが、もし花粉症で抗ヒスタミン薬を使用していても鼻症状が改善しないというのであればステロイド点鼻薬やマスク、眼症状があるのであれば抗ヒスタミンの点眼薬等他の投与経路の薬剤も併用したり暴露しないように予防することも重要ですね。

『【抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)】薬物動態情報まとめ&使い分け』まとめ

第二世代抗ヒスタミン薬
  • 腎排泄・肝代謝や半減期等の違いはあるが、基本的にはどの薬剤を選択しても抗ヒスタミン作用としては変わりない。
  • 眠気等の自覚症状で日常生活に影響の出る方は鎮静性の低い薬剤を選択する。
  • 自動車の運転頻度が多い方は運転が禁忌と記載されていない薬剤を選択する。
  • 症状に応じてステロイド点鼻薬、抗ヒスタミン点眼薬等を併用する。

 

 

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