HMG-CoA還元酵素阻害薬であるリポバス®(シンバスタチン)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
HMG-CoA還元酵素阻害薬はLDL-コレステロールを低下させる薬剤です。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
この記事中のIFは『リポバス®IF, 2021年7月改訂(第30版)』をさしています。
Contents
リポバス®(シンバスタチン)薬物動態情報
用法用量
リポバス® 1日1回5mg(MAX20mg)
バイオアベイラビリティ
- 5%未満(シンバスタチンのオープンアシド体として)
(IF:P.24より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
資料なし
分布容積(Vd)
資料なし
(IF:P.24より)
Vd(b)不明
全身クリアランス
- 全身クリアランス:530mL/min
(IF:P.24より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
投与後24 時間までの総阻害物質及び活性阻害物質の累積尿中排泄率は投与量の0.34~0.42%及び0.20~0.35%と極めて低値
(IF:P.31より)
主排泄経路は胆汁排泄であることから肝代謝型の薬剤と考えられます。
抽出比
資料なし
タンパク結合率
- 血清蛋白結合率94~98%
(IF:P.24より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.96=0.04
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 2.2~3.1hr
(IF:P.21より)
その他
- CYP3A4代謝(+)→CYP3A4阻害作用を持つ薬剤との併用に注意
- 活性代謝物であるオープンアシド体は OATP1B1 の基質
- プロドラッグ型のスタチン
リポバス®(シンバスタチン)薬物動態情報まとめ
リポバス®(シンバスタチン)の特徴
- 肝代謝型
- ER、EH、Vd:情報なし
- fuP=0.04→タンパク結合依存型(fuP<0.2)
- バイオアベイラビリティ5%未満
- 半減期2.2~2.7時間
- CYP3A4阻害作用を持つ薬剤に影響を受ける
- プロドラッグ