SGLT2阻害薬は尿に糖を出すことで血糖を下げる薬です。
SGLT2阻害薬は現在6薬剤発売されています。
今回はその中の1つであり、日本で最初に発売されたSGLT2阻害薬であるスーグラ®(イプラグリフロジン)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『スーグラ®IF, 2021年11月(第12版)』のことです。
Contents
スーグラ®(イプラグリフロジン)薬物動態情報
効能効果
- 2型糖尿病
- 1型糖尿病
用法用量
- イプラグリフロジン 1回50mg 1日1回朝食前or朝食後経口投与
(効果不十分時は1回100mgまで増量可)
(1型糖尿病はインスリン製剤との併用下で使用)
バイオアベイラビリティ
- 絶対バイオアベイラビリティ90.2%(外国人データ)
(IF:P.80より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 血球移行率(平均値)16.9~19.1 %
(スーグラ®審査報告書, 平成25年11月8日, 審査報告(1)P.32より)
血球移行率18%で計算します。
血漿分布率=1-0.18=0.82
B/P=全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度・(1-Ht)とHt=0.5より
B/P=1/0.82・(1-0.5)=0.61
分布容積(Vd)
- 127L(外国人データ)
(IF:P.79より)
Vd(b)=Vd/(B/P)=127/0.61=208.2
Vd(b)≧50より細胞内分布型の薬剤といえます。
全身クリアランス
- 10.9L/h(外国人データ)
(IF:P.79より)
単位をml/minに変換すると181.7ml/minとなります。
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 約1%(IF:P.85より)
Ae≦30より肝代謝型の薬剤といえます。
全身クリアランス(CL)≒肝クリアランス(CLH)
抽出比
- 肝抽出比
EH=CLH(ml/min)/(B/P)/QH=181.7/0.82/1600=0.138
EH<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。
タンパク結合率
- 94.6%~96.5%(in vitro)
(IF:P.82より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.965=0.035
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 14.97±4.58時間
(IF:P.73より)
スーグラ®(イプラグリフロジン)薬物動態情報まとめ
スーグラ®(イプラグリフロジン)の特徴
- 適応:2型糖尿病、1型糖尿病
- Ae:約1%→肝代謝型(Ae≦30)
- EH:0.138→消失能依存型(ER<0.3)
- Vd(b): 208.2→細胞内分布型(Vd(b)≧50)
- fuP:0.035→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:90.2%
- 半減期:14.97時間