エフィエント®(プラスグレル)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
抗血小板薬プラスグレルはP2Y12受容体を阻害して作用を示します。
第3世代チエノピリジン系薬剤であるプラスグレルは第1世代の重篤な副作用、第2世代の遺伝子多型の問題点を解決するために開発された薬剤です。
では一緒に確認していきましょう。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『エフィエント®IF, 2021年12月(第15版)』のことです。
Contents
エフィエント®(プラスグレル)薬物動態情報
用法用量
〈経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患〉
初回のみエフィエント® 1回20mg(ローディング)
エフィエント® 1回3.75mg 1日1回経口投与
エフィエント®の血小板凝集抑制作用は5日間で定常状態に達することが想定されるため、PCI施行前にエフィエント®3.75mgを5日間程度投与されている場合、初回負荷投与(投与開始日に20mgを投与すること)は必須ではありません。
バイオアベイラビリティ
不明
<外国人データ>
プラスグレル塩酸塩を健康被験者に経口投与したときの吸収率は、少なくとも79%であった。(IF:P.116より)
<動物データ(ラット)>
ラットにプラスグレルを経口投与した際のR-138727の絶対バイオアベイラビリティは約25%であった(活性代謝物を静脈内投与したときのR-138727のAUCとの比較に基づく)。(IF:P.116より)
<外国人データ>
健康成人男性に14C-プラスグレル15mgを単回経口投与した場合、投与240時間以内に放射能の累積排泄率は95%以上に達し、放射能の約68%が尿中から、約27%が糞中から排泄された。(IF:P.120より)
IFの記載からはヒトの絶対バイオアベイラビリティは分かりませんでした。
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
該当資料なし
分布容積(Vd)
該当資料なし
(IF:P.115より)
全身クリアランス
該当資料なし
(IF:P.115より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
該当資料なし
プラスグレルは肝臓で代謝される肝代謝型の薬剤です。
抽出比
該当資料なし
タンパク結合率
- 98%
活性代謝物R-138727のヒト血清アルブミンに対する結合率は約98%
(IF:P.118より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.98=0.02
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
活性代謝物R-138727の半減期 0.9時間
(IF:P.110より)
その他
- 非可逆的に血小板凝集抑制作用を示します
- 経口投与されたプラスグレルは、小腸細胞でカルボキシルエステラーゼにより速やかにR-95913に代謝される。さらに小腸及び肝臓で主にCYP3A4及びCYP2B6による代謝をうけ活性代謝物R-138727となります
- プラスグレルは経口投与後に速やかに代謝されるため、血漿中に本剤の未変化体は検出されず、活性代謝物R-138727の血漿中濃度を測定しました
- 〈血小板凝集抑制率〉プラスグレル2.5mg群:32.63%、5mg群:43.58%、7.5mg群:53.25%、クロピドグレル群:22.95%(IF:P.33より)
- 比例的に上昇しておりプラスグレル3.75mgの血小板凝集抑制率は約38%と推定
- 血小板凝集抑制率:43~73%(PMID: 32092903)
- 作用発現時間:ローディング後 2~4時間(PMID: 32092903)
- 作用消失時間:7~10日(PMID: 32092903)
エフィエント®(プラスグレル)薬物動態情報まとめ
- 肝代謝型
- Vd(b)、ER、EH、バイオアベイラビリティ:データなし
- fuP=0.02→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- 半減期:0.9時間
- CYP3A4及びCYP2B6阻害作用を持つ薬剤との併用に注意
- 非可逆的に血小板凝集抑制作用を示す
- 血小板凝集抑制率:43~73%
- 作用発現時間:ローディング後 2~4時間
- 作用消失時間:7~10日