Vaughan Williams分類Ⅰa群に分類される抗不整脈薬アミサリン®(プロカインアミド)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中の“IF錠”は『アミサリン®錠IF, 2019年3月(第1版)』、“IF注”は『アミサリン®注IF, 2019年3月(第1版)』のことです。
Contents
アミサリン®(プロカインアミド)薬物動態情報
適応
- 期外収縮(上室性、心室性)
- 発作性頻拍(上室性、心室性)
- 手術及び麻酔に伴う不整脈
- 心房細動
- 心房粗動(静注のみ)
用法用量
- アミサリン®錠
1回250~500mg 1日3~6回経口投与
- アミサリン®注
プロカインアミド塩酸塩として、通常成人200~1000mg(2~10mL)を50~100mg(0.5~1mL)/minの速度で静脈内注射する。正常洞調律にかえった場合、中毒症状があらわれた場合、あるいは注入総量が1000mg(10mL)に達した場合には、投与を中止すること。
バイオアベイラビリティ
- 75~95%(IF錠:P.12より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 該当資料なし
B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。
分布容積(Vd)
- 2.93±0.97L/kg(IF注:P.11より)
体重60kgの場合、Vd=2.93×60=175.8
Vd(b)≦Vd/(B/P)=175.8/0.5=351.6
Vd(b)≧50(細胞内分布型)、Vd(b)=20~50(分布中間型)、Vd(b)≦20(細胞外分布型)とすべての可能性があるため特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 683.54±123.55ml/min(IF注:P.11より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 48±2.2%(24時間までのデータ)(IF注:P.15より)
Ae=30~70%より腎・肝混合型(中間型)の薬剤といえます。
腎クリアランス(CLR)=CL×Ae
683.54(ml/min)×0.48=328.10ml/min
肝クリアランス(CLH)=CL-CLR
683.54-328.1=355.44ml/min
抽出比
- 腎抽出比
ER≦CLR(ml/min)/(B/P)/QR(ml)=328.1/0.5/1200
ER≦0.55
ER<0.3(消失能依存型)、0.3≦ER≦0.7(中間型)の薬剤の可能性があるため特徴付けできませんでした。
- 肝抽出比
EH≦CLH(ml/min)/(B/P)/QH(ml)=355.44/0.5/1600
EH≦0.44
EH<0.3(消失能依存型)、0.3≦EH≦0.7(中間型)の薬剤の可能性があるため特徴付けできませんでした。
タンパク結合率
- 15~25%(IF注:P.12より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.15=0.85
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。
半減期
- 2.20±0.54hr(IF:P.11より)
その他
- 治療上有効な血中濃度
プロカインアミド(PA):4~10μg/mL - N-アセチルプロカインアミドは、プロカインアミドと同等の抗不整脈作用をもつ
- 代謝物N-アセチルプロカインアミドの尿中排泄率:15±1.8%(24時間までのデータ)
- プロカインアミド及び活性代謝物N-アセチルプロカインアミドの血液透析による除去率は約30%
- N-アセチルトランスフェラーゼにより代謝される
- OCT (organic cation transporter)及びMATE (multidrug and toxin extrusion)の基質
OCTやMATEといったトランスポーターについてはコチラの記事をご覧ください。
アミサリン®(プロカインアミド)薬物動態情報まとめ
- Vaughan Williams分類:Ⅰa群
- Ae=48%→腎・肝中間型(30<Ae<70)
- ER≦0.55→特徴付け不可
- EH≦0.44→特徴付け不可
- Vd(b)≦351.6→特徴付け不可
- fuP=0.85→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
- バイオアベイラビリティ:75~95%
- 半減期:2.2時間
- N-アセチルトランスフェラーゼにより代謝される
- OCT (organic cation transporter)及びMATE (multidrug and toxin extrusion)の基質
- 治療上有効な血中濃度
プロカインアミド(PA):4~10μg/mL - 透析除去率:30%