抗アレルギー薬である第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬アレグラ®(フェキソフェナジン)について薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『アレグラ®IF, 2023年5月(改定第23版)』のことです。
Contents
アレグラ®(フェキソフェナジン)薬物動態情報
適応
- アレルギー性鼻炎
- 蕁麻疹
- 皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒
用法用量
〈成人〉
アレグラ® 1回60mg 1日2回経口投与
〈小児〉
7歳以上12歳未満
アレグラ® 1回30mg 1日2回経口投与
12歳以上
アレグラ® 1回60mg 1日2回経口投与
バイオアベイラビリティ
該当資料なし(IF:P.45より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
該当資料なし
分布容積(Vd)
該当資料なし(IF:P.46より)
資料がなく特徴付けできませんでした。
全身クリアランス(CL)
- 成人:44.4L/hr(単回投与)
(IF:P.45より)
(2000年9月22日承認、アレグラ®申請資料概要ヘ.Ⅲ.1.(1)より見かけのクリアランスであること確認)
尿中未変化体排泄率(Ae)
記載なし
- ほとんど代謝されず、ヒトでは大部分がフェキソフェナジンとして血漿、尿中に存在していた(外国人データ)。(IF:P.50より)
- 外国人健康成人男子に14C-フェキソフェナジン塩酸塩溶液60mg を単回経口投与した時、投与後11日までの尿及び糞中の回収率は91.5%で、放射能を示す分画のほとんどはフェキソフェナジンであり、糞中に約80%、尿中に約11.5%排泄された(IF:P.50より)
上記より、腎排泄・胆汁排泄型の薬剤と考えられます。
抽出比
Aeが不明のため、腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- 60~82%(69.4±5.9%)
(IF:P.46より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
平均値より
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.694=0.306
fuP>0.2よりタンパク結合非依存型の薬剤といえます。
最大値では、
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.82=0.18
fuP<0.2よりタンパク結合依存型となる可能性もありますね。
とはいえ、基本的にはタンパク結合非依存型と考えて良さそうです。
半減期
- 成人 9.1~12.7時間(IF:P.40より)
その他
- 健康成人にフェキソフェナジン塩酸塩120mg、第二世代の抗ヒスタミン薬及びプラセボを二重盲検、クロスオーバーでそれぞれ単回投与し、ポジトロン放出断層撮影法(PET)を用いて脳への移行性を検討した結果、フェキソフェナジンによる大脳皮質のヒスタミンH1受容体の占拠はほとんどみられなかった。また、視覚刺激反応時間検査においてプラセボと差がなかった。[Tashiro M., et al.:J. Clin. Pharmacology 44(8):890-900, 2004](IF:P.14より)
→非鎮静性 - 成人のブタクサアレルギー患者に、フェキソフェナジン塩酸塩60mg、第一世代の抗ヒスタミン薬、アルコール及びプラセボを二重盲検、4剤4期クロスオーバーでそれぞれ単回投与し、シミュレーター上での自動車運動能力に及ぼす影響を検討したとき、運動能力に及ぼす影響は第一世代の抗ヒスタミン薬に比べ有意に小さく、プラセボと同様であった(外国人データ)。[Weiler J. M., et al.:Ann. Intern. Med. 132(5):354-363, 2000](IF:P.14より)
→自動車運転可 - AU TGA pregnancy category:B2
- US FDA pregnancy category:C
アレグラ®(フェキソフェナジン)薬物動態情報まとめ
アレグラ®(フェキソフェナジン)の特徴
- 腎排泄・胆汁排泄型
- ER、EH、Vd(b):特徴づけ不可
- fuP=0.306→タンパク結合非依存型(fuP>0.2)
- バイオアベイラビリティ:資料なし
- 半減期:9.1~12.7時間
- 非鎮静性
- 自動車運転可
- AU TGA pregnancy category:B2
- US FDA pregnancy category:C