抗アレルギー薬である第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬エバステル®(エバスチン)について薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『エバステル®IF, 2023年12月(第24版)』のことです。
Contents
エバステル®(エバスチン)薬物動態情報
適応
- 蕁麻疹
- 湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚瘙痒症
- アレルギー性鼻炎
用法用量
エバステル® 1回5~10mg 1日1回経口投与
バイオアベイラビリティ
- 該当資料なし(IF:P.23より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
該当資料なし
分布容積(Vd)
- 該当資料なし(IF:P.22より)
全身クリアランス(CL)
- 該当資料なし(IF:P.22より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- Ae:1.7%
72時間後までの尿中排泄率(IF:P.25より)
- エバスチン:0.1%
- カレバスチン:1.7%
カレバスチンはエバスチンの活性代謝物です。
Ae≦30より肝代謝型の薬剤といえます。
抽出比
クリアランスが不明のため、腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- エバスチン:99.9%以上(in vitro、ヒト血清、平衡透析法)
- カレバスチン:97.4~97.7%(in vitro、ヒト血漿、限外ろ過法)
(IF:P.24より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
活性代謝物であるカレバスチンで考えます。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.974=0.026
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 17.6~18.8時間(IF:P.21より)
その他
- エバスチンの主代謝物カレバスチンは、末梢ヒスタミンH1 受容体に対する選択的な拮抗作用及びヒスタミン遊離抑制作用を有し、アレルギー反応を抑制する。(IF:P.25より)
- エバスチンの初発主要代謝経路はtert-ブチル基の水酸化と酸化的N-脱アルキル化であり、ともに小腸が主たる代謝臓器であると考えられている。未変化体から活性代謝物カレバスチンへの代謝は、小腸においては主としてCYP2J2 が、肝臓においてはCYP3A4 以外にCYP2J2 等が関与していることが報告されている。また、未変化体の酸化的N-脱アルキル化には、小腸・肝臓ともにCYP3A4 が関与することが報告されている。(IF:P.25より)
- 透析除去:該当資料なし(IF:P.25より)
- 脳内ヒスタミンH1 受容体占拠率:約10%1)(図より読み取り)(20%以下→非鎮静性)
- 〈重要な基本的注意〉眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作に注意させること。本剤は抗ヒスタミン作用を有し、眠気の副作用が認められていることから設定した。なお、承認までの臨床試験、使用成績調査及び市販後臨床試験(総症例8,349 例)における眠気の発現割合は1.7%であった。(IF:P.26より)→自動車運転注意必要
- AU TGA pregnancy category:記載なし
- US FDA pregnancy category:記載なし
エバステル®(エバスチン)薬物動態情報まとめ
エバステル®(エバスチン)の特徴
- 活性代謝物:カレバスチン
- 代謝部位:小腸、肝臓
- 代謝酵素:CYP2J2、CYP3A4
- Ae=1.7%→肝代謝型(Ae≦30)
- ER・EH・Vd(b):特徴づけ不可
- fuP=0.026→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:該当資料なし
- 半減期:17.6~18.8時間
- 透析除去:該当資料なし
- 非鎮静性
- 自動車運転注意必要
- AU TGA pregnancy category:記載なし
- US FDA pregnancy category:記載なし
参考資料
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- 谷内一彦:薬理作用から見た理想的な抗ヒスタミン薬治療.日耳鼻 2020;123:196-204.