サムスカ®(トルバプタン)薬物動態情報
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バソプレシンV2受容体拮抗薬であるサムスカ®(トルバプタン)は水利尿薬ともいわれ、電解質に影響を与えにくい利尿薬です。

そんなトルバプタンの薬物動態情報について見ていきましょう。

各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。

本記事中のIFは『サムスカ®IF, 2021年10月(第23版)』をさしています。

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サムスカ®(トルバプタン)薬物動態情報

用法用量

《ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留》

サムスカ® 1回3.75~15mg 1日1回経口投与

「ループ利尿薬等の他の利尿薬と併用すること」となっています。

なぜかご存じでしょうか。

 

簡単に言うと、作用機序的に単剤では利尿効果があまり期待できないからです。

詳細はコチラに記載しています。

 

また、心不全の他にも肝硬変における体液貯留、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)における低ナトリウム血症、常染色体優性多発性のう胞腎の進行抑制に適応があります。

適応により投与量が変わりますので、添付文書等をご確認ください。

バイオアベイラビリティ

  • 56%

健康成人(外国人)を対象にトルバプタン30mg経口投与した時の絶対的バイオアベイラビリティは56%であった(IF:P.65より)

全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)

データなし

B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。

分布容積(Vd)

Vd/F=80.4L

心性浮腫患者を対象としたPPK解析より求めた見かけの分布容積(Vd/F)は80.4L(IF:P.64より)

経口投与時のみかけの分布容積であり特徴づけに用いない。参考値。

全身クリアランス

  • CL=140.4ml/min

 

心性浮腫患者を対象としたPPK解析より求めた経口クリアランス(CL/F)は8.34L/hr(IF:P.64より)

→139ml/min

 

静脈内投与時のクリアランスは 2.34±0.78mL/min/kg(サムスカ®審査報告書2010年7月14日, P.31より)

→140.4ml/min(体重60kg)

 

結果的にIFと審査報告書の数値は近くなりましたが、審査報告書の“静脈内投与時”という表現がなければ、参考値として特徴づけに用いないと判断していたと思います。

 

尿中未変化体排泄率(Ae)

  • 1%未満

排泄部位及び経路:糞中及び尿中

健康成人に、14C-トルバプタン60mgを空腹時に単回経口投与した時、糞中及び尿中にそれぞれ投与した放射能の58.7%及び40.2%が排泄された。未変化体の糞中及び尿中の回収率は、それぞれ投与量の18.7%及び1%未満であった。糞中の累積放射能の約65%は投与後72時間以内に排泄され、尿中の累積放射能の約80%は投与後36時間以内に排泄された。(IF:P.67より)

Ae≦30より肝代謝型の薬剤といえます。

抽出比

Ae1%未満よりCL≒CLHと考えます。

 

肝抽出比

EH<CLH/(B/P)/QH=140.4/0.5/1600

EH<0.1755

EH<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。

タンパク結合率

  • 98%以上

ヒト血漿蛋白結合率は、98.0%以上(IF:P.66より)

タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。

血漿中遊離形率(fuP)=1-0.98=0.02

fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。

半減期

  • 3.3時間

3.3±1.2 時間(トルバプタン15mg)
(IF:P.57より)

その他

  • トルバプタンは肝代謝酵素CYP3A4で代謝される
  • トルバプタンはP糖蛋白の基質であるとともに、P糖蛋白への阻害作用をもつ

サムスカ®(トルバプタン)薬物動態情報まとめ

サムスカ®(トルバプタン)の特徴
  • Ae=1%未満→肝代謝型(Ae≦30)
  • Vd/F:80.4L(参考値、Vd(b)データなし)
  • CL:140.4ml/min(60kgで換算)
  • EH<0.1755→消失能依存型(EH<0.3)
  • fuP=0.02→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
  • バイオアベイラビリティ:56%
  • 半減期:3.3時間
  • CYP3A4阻害作用を持つ薬剤との併用に注意
  • P-糖蛋白阻害作用を持つ薬剤との併用に注意

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