抗アレルギー薬である第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬ザジテン®(ケトチフェン)について薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『ザジテン®カプセルIF, 2021年10月(第5版)』のことです。
Contents
ザジテン®(ケトチフェン)薬物動態情報
適応
- 気管支喘息
- アレルギー性鼻炎
- 蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症
用法用量
成人
ザジテン®カプセル 1回1mg 1日2回朝食後・就寝前経口投与
小児
◆ザジテンシロップ 0.02%
1回0.15mL/kg(ケトチフェンとして0.03mg/kg)を1日2回 朝食後・就寝前経口投与
◆ザジテンドライシロップ 0.1%
1日量0.03g/kg(ケトチフェンとして0.03mg/kg)を1日2回 朝食後・就寝前経口投与(用時溶解)
バイオアベイラビリティ
- 約50%(IF:P.14より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
該当資料なし
分布容積(Vd)
- 見かけの分布容積:小児394L(IF:P.14より)
全身クリアランス(CL)
見かけの全身クリアランス(IF:P.14より)
- 成人1.55 L/hr/kg
- 小児3.61L/hr/kg(97.4 L/hr)
成人体重60kgの場合、93L/hr
尿中未変化体排泄率(Ae)
投与量の約1%が未変化体、60~70%が代謝物として尿中に排泄。(48時間、外国人のデータ)
排泄率は尿中71.1%及び糞中26.4%(120時間値)
(IF:P.16より)
測定時間としては短いですが、記載内容より、Ae≦30より肝代謝型の薬剤と考えられます。
抽出比
Aeが不明のため・みかけのクリアランスのため、腎抽出比(ER)・肝抽出比(EH)を算出することはできませんでした。
タンパク結合率
- 約95%(IF:P.14より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.95=0.05
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 21時間(IF:P.14より)
その他
- 主代謝産物はグルクロン酸抱合体(IF:P.15より)
- 透析除去:該当資料なし(IF:P.16より)
- 脳内ヒスタミンH1 受容体占拠率:約76%1)(図より読み取り)(20%以下は非鎮静性)→鎮静性
- 〈重要な基本的注意〉眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。→自動車運転不可
- AU TGA pregnancy category:記載なし(B1:点眼薬(参考))
- US FDA pregnancy category:記載なし(Not assigned:点眼薬(参考))
ザジテン®(ケトチフェン)薬物動態情報まとめ
ザジテン®(ケトチフェン)の特徴
- 肝代謝型
- ER・EH・Vd(b):該当資料なし
- fuP=0.05→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:50%
- 半減期:21時間
- 透析除去:該当資料なし
- 鎮静性
- 自動車運転不可
- AU TGA pregnancy category:記載なし(B1:点眼薬(参考))
- US FDA pregnancy category:記載なし(Not assigned:点眼薬(参考))
参考資料
- 谷内一彦:薬理作用から見た理想的な抗ヒスタミン薬治療.日耳鼻 2020;123:196-204.