ウワサの肥満改善薬アライについて審査報告書・論文をみてみた
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肥満改善薬アライについて調べてみました。

アライはダイレクトOTCで、医療用医薬品として承認された新規有効成分が、直接一般用医薬品として承認された医薬品です。

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アライ(オルリスタット)薬物動態情報

まずはアライ(オルリスタット)について薬物動態情報を見ていきたいと思います。

各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。

効能効果

腹部が太めな方注)の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)
注)腹囲(へその高さ):男性85cm以上、女性90cm以上

効能・効果について、申請時は、以下のとおり設定されていた。

腹部が太めな方注)の生活習慣改善時における食事由来の脂肪の吸収抑制による内臓脂肪・腹囲の減少を伴う脂肪蓄積の緩和
注)腹囲(へその高さ):男性85cm 以上、女性90cm 以上

機構は、以下の点を踏まえ、効能・効果の適切性について検討するよう求めた。
・本剤は、生活習慣改善への取組みを行っている者のみが使用可能な薬剤であり、その点を明確にする必要があること
・臨床試験では「脂肪蓄積の緩和」の効果は確認されていないこと
・効能・効果に「食事由来の脂肪の吸収抑制による」と、想定される作用機序を記載することは適切ではないこと
申請者は、検証試験において、本剤の内臓脂肪面積及びウエスト周囲長(腹囲)の減少効果が認められたことを踏まえ、効能・効果を以下のとおり変更すると回答した。

腹部が太めな方注)の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)
注)腹囲(へその高さ):男性85cm 以上、女性90cm 以上

機構は、変更後の効能・効果を了承した。

上記とのことで、効能効果として「食事由来の脂肪の吸収抑制による」という想定される作用は記載してはいけないって、論文でも脂肪の吸収抑制って書いてあるし、メーカーの製品紹介ページでも記載されているのに、添付文書の効能効果に記載してはいけないというのは個人的にはビックリでした。

用法用量

  • 成人(18才以上):1日3回1回1カプセル(60mg) 食事中または食後1時間以内
  • 18才未満:服用しないこと

バイオアベイラビリティ

  • 約1%

尿中及び糞中排泄率から推定された吸収量は投与量の約1%と考えられた(審査報告書:P.21より)

つまり口から投与された薬剤の99%は体内に吸収されず体外に排泄されるということになります。

全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)

  • 全血中濃度/血漿中濃度比:0.71~0.76(審査報告書P.16より)

分布容積(Vd)

データなし

全身クリアランス(CL)

データなし

尿中未変化体排泄率(Ae)

データなし

(参考)尿中放射能排泄率1.53%(IF:P.22より)

抽出比

ほとんど体内に吸収されないため、評価に該当せず。

タンパク結合率

  • 99.9%以上(審査報告書:P.16より)

タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.99=0.01
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。

とはいえほとんど体内に吸収されないため、あまり関係ないですね。

半減期

データなし(審査報告書P.20より)

代謝物M1:2.83hr
代謝物M3:9.63hr
とはいえほとんど体内に吸収されないため、これもあまり関係ないですね。

オルリスタットの論文読んでみた

海外の報告

上記の論文についてPICOと結果をみてみました。

PICO

PICO
P:肥満患者(BMI 28~43 kg/m2)に
I:オルリスタット1回120mg1日3回投与と
C:プレセボ投与を比較して
O:1年後の体重は減るか

※日本の承認用量は1回60mg 1日3回です。

論文の読み方・PICOについては以下の記事を参照してください。

結果

体重変化率(1年後)
  • オルリスタット投与群:-9.0%
  • プラセボ投与群:-5.8%

3000人以上が組み入れられた試験で、プラセボと比較してオルリスタットは1年間で3.2%体重を減らしたという報告でした。

日本の報告

日本の報告である上記の論文についてもPICO、結果についてみてみました。

PICO

PICO
P:代謝性疾患のない内臓脂肪が過剰な18歳以上の日本人
(ウエスト周囲径が男性85cm以上、女性90cm以上⇒内臓脂肪面積100cm2以上)
I:オルリスタット1回60mg1日3回投与と
C:プレセボ投与を比較して
O:24週後の内臓脂肪面積減少率はどうか

結果

主要評価項目は内臓脂肪面積減少率でした。
内臓脂肪面積減少率(24週後)
  • オルリスタット投与群:-13.50%
  • プラセボ投与群:-5.45%

 

副次評価項目ですが体重減少率も記載がありました。

体重減少率(24週間後)
  • オルリスタット投与群:-2.21%
  • プラセボ投与群:-0.98%

患者背景の平均体重がオルリスタット80.38kg、プラセボ78.59kgなので実際の体重減少はオルリスタット-1.78kg、プラセボ-0.77kgですね。

また治療期間24週間の前に、12週間の観察期間で食事改善(体重に応じて1日のカロリー摂取量を200〜400kcal削減)があり、その期間で両群とも約-3%の体重減少(食事改善は試験を通じてアドバイスあり)と記載がありました。

感想

オルリスタット投与群ではLDLコレステロール、拡張期血圧、および空腹時血糖値も減少することも報告されていますが、日本での承認は「内臓脂肪を減らす」です。

とはいえ海外の報告は投与量は日本の承認用量多いにもかかわらず1年間でプラセボに比べて体重3.2%の減少か…。日本の報告でもプラセボに比べて体重は1.2%の減少…。数ある中でたまたま見た論文なので、もっと良い結果もあるよと言われるかもしれませんが…。最終的に使いたいかどうかは個々の判断になると思いますが、お金の負担と副作用を考えると…。

あとは買うまでの工程がいくつかありますがダイレクトOTCになった意味ですよね。病院を受診しなくても薬局で購入することができるという点はポイントかなと思います。(『アライの購入条件・ステップ』参照)

 

最近自己最高の体重をたたき出し、あせって痩せようとしている身ですが、夜中に食べないようにするなど食事に気を付けるだけで-8%程度体重が減っているので、まずは食事や運動といった生活習慣を見直すのはやはり大事なんだなと思いました。(当たり前ですね。)

それにしても夜中のポテチとビールたちの威力よ(笑)

審査報告書の試験結果を見る

英語論文を読むのが…という方は審査報告書にも長期試験の結果が載っているのでそちらを是非!こちらは日本人のデータですし、日本語で記載されています。(審査報告書P.39「長期投与試験」)

記載されている長期投与試験は非盲検非対照試験だったためオルリスタット群のデータの記載のみでプラセボ群との比較はありませんが、参考にはなると思います。

オルリスタット1日3回 1回60mg投与による1年後の体重変化率は-5.36%という結果でした。

アライの購入方法

要指導医薬品に該当するため、薬剤師がいる薬局・薬店でのみ購入できます。

また購入するには、
・服用3ヶ月前から服用中を通し、生活習慣の改善(食事・運動の改善)に取り組むこと
・初回購入1ヶ月前からは生活習慣改善の記録
が必要です。

詳細は『アライ購入条件・購入までのステップ』を確認してください。

90カプセル 8,800円(税込)
18カプセル 2,530円(税込)
ということで結構いい値段しますね。

アライの副作用

  • 便が油っぽくなる/便が近くなる/お腹が張る/下痢/腹痛
    対策→脂っこい食事は控えめに
  • おならをすると便が漏れる/気づかない間に肛門から油が漏れる
    対策→油漏れ・便漏れには便漏れパッドで対策

油の漏れ34.2%、便を伴う放屁23.3%で認められたとのこと、漏れるはなかなか怖いですよね。

『噂の肥満改善薬アライについて審査報告書・論文をみてみた』まとめ

アライ(オルリスタット)の特徴
  • ダイレクトOTC(要指導医薬品)
  • 薬局でのみ購入可能
  • 脂肪の吸収抑制
  • バイオアベイラビリティ約1%
  • 体重変化率(海外の報告:1回120mg 1日3回)
    ・オルリスタット投与群:-9.0%
    ・プラセボ投与群:-5.8%
  • 内臓脂肪面積減少率(日本の報告:1回60mg 1日3回)
    ・オルリスタット投与群:-13.50%
    ・プラセボ投与群:-5.45%
  • 便を伴う放屁(23.3%)や油が肛門から漏れる(34.2%)可能性あり

 

 

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