SGLT2阻害薬は尿に糖を出すことで血糖を下げる薬です。
SGLT2阻害薬は現在6薬剤発売されています。
今回はその中の1つである、デベルザ®(トホグリフロジン)の薬物動態情報を見ていきたいと思います。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『デベルザ®IF, 2019年10月(第12版)』のことです。
Contents
デベルザ®(トホグリフロジン)薬物動態情報
用法用量
- 2型糖尿病
トホグリフロジン 1回20mg 1日1回 経口投与 朝食前or朝食後
バイオアベイラビリティ
- 絶対的バイオアベイラビリティ97.5±12.3%(IF:P.49より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 血球移行率(平均値)24.8~29.1 %
(デベルザ®審査報告書, 平成26年1月28日, 審査報告(1)P.30より)
血球移行率27%で計算します。
血漿分布率=1-0.27=0.73
B/P=全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度・(1-Ht)とHt=0.5より
B/P=1/0.73・(1-0.5)=0.68
分布容積(Vd)
- 50.6±6.74L[0.631±0.106L/kg](IF:P.48より)
Vd(b)=Vd/(B/P)=50.6/0.68=74.4
Vd(b)≧50より細胞内分布型の薬剤といえます。
全身クリアランス
- 9.96±1.25L/h(IF:P.48より)
単位をml/minに換算すると166ml/minとなります。
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 77%(168時間)
尿中に回収された主成分はカルボン酸体
(IF:P.53より)
上記よりIFの記載は薬剤の特徴づけに用いることができないため審査報告書を確認しました。
- Ae:0.155±0.051%
(デベルザ®審査報告書, 平成26年1月28日, 審査報告(1)P.35より)
Ae≦30より肝代謝型の薬剤といえます。
また、全身クリアランス(CL)≒肝クリアランス(CLH)となります。
抽出比
- 肝抽出比
EH=CLH/(B/P)/QH=166/0.68/1600=0.152
EH<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。
タンパク結合率
- 血漿蛋白結合率82.3~82.6%(IF:P.51より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.826=0.174
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 5.29±0.508時間
(IF:P.41より)
デベルザ®(トホグリフロジン)薬物動態情報まとめ
デベルザ®(トホグリフロジン)の特徴
- 適応:2型糖尿病
- Ae:0.155%→肝代謝型(Ae≦30)
- EH:0.152→消失能依存型(EH<0.3)
- Vd(b):74.4→細胞内分布型(Vd(b)≧50)
- fuP:0.174→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:97.5%
- 半減期:5.29時間