ケレンディア®(フィネレノン)は2022年3月に承認されたミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の新薬です。承認時点での適応は2型糖尿病を合併する慢性腎臓病となっており、これまでのMRAとは適応が異なっています。
ではケレンディア®(フィネレノン)の薬物動態情報を見ていきましょう。
各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。
本記事中のIFは『ケレンディア®IF, 2022年3月(第1版)』のことです。
Contents
ケレンディア®(フィネレノン)薬物動態情報
用法用量
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)
eGFR60mL/min/1.73m2以上:1回20mg 1日1回経口投与
eGFR60mL/min/1.73m2未満
開始量:1回10mg 1日1回経口投与
血清カリウム値、eGFRに応じて、投与開始から4週間後を目安に20mgへ増量
バイオアベイラビリティ
- 43.5%
健康成人男性15例にフィネレノン5mg注)を空腹時に単回経口投与したときのフィネレノン1mg静脈内投与に対する絶対的バイオアベイラビリティは43.5%(両側90% CI:39.2-48.3%)であった。(IF:P.64より)
全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)
- 血液/血漿中濃度比0.935
(ケレンディア®審査報告書,2022年1月19日,P.24)
分布容積(Vd)
- 52.6L
健康成人男性15例にフィネレノン1mgを単回静脈内投与したときの定常状態における分布容積[幾何平均値(CV%)]は、52.6L(17.3)であった(外国人データ)(IF:P.64より)
Vd(b)=Vd/(B/P)=52.6/0.935=56.26
Vd(b)≧50より細胞内分布型の薬剤といえます。
全身クリアランス
- 22.3L/h(371.7ml/min)
健康成人男性15例にフィネレノン1mgを単回静脈内投与したときの全身クリアランス[幾何平均値(CV%)]は22.3L/h(18.6)であった(外国人データ)(IF:P.64より)
尿中未変化体排泄率(Ae)
- 0.825%
健康成人男性4例に[14C]フィネレノン経口液剤10mgを単回経口投与したときの放射能の糞尿中総排泄率(算術平均値)は101%、そのうち未変化体として排泄されたのは投与量の約1%(尿中:0.825%、糞中:0.184%)で大部分を代謝物が占めたことから、経口投与後のフィネレノンの吸収率は約100%と推定された。(IF:P.64より)
Ae≦30より肝代謝型の薬剤といえます。
また、全身クリアランス(CL)≒肝クリアランス(CLH)とします。
抽出比
- 肝抽出比0.248
EH=CLH/(B/P)/QH=371.7/0.935/1600=0.248
EH<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。
タンパク結合率
- 91.7%(IF:P.65より)
タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。
血漿中遊離形率(fuP)=1-0.917=0.083
fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。
半減期
- 2~3時間
単回投与時、血漿中フィネレノン濃度は投与0.75~1.00時間後にCmaxに達し、約2~3時間のt1/2で低下した(IF:P.58より)
その他
- 非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬
- 承認時点の適応は2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)
- フィネレノンはCYP3A4により代謝されるため、CYP3A4阻害剤との併用によりフィネレノンのクリアランスが減少し血中濃度が上昇する可能性がある
ケレンディア®(フィネレノン)薬物動態情報まとめ
- Ae<1%→肝代謝型(Ae≦30)
- EH=0.248→消失能依存型(ER<0.3)
- Vd(b)=56.26→細胞内分布型(Vd(b)≧50)
- fuP=0.083→タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
- バイオアベイラビリティ:43.5%
- 半減期:2~3時間
- 承認時点の適応は2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)
- CYP3A4阻害作用を持つ薬剤との併用に注意