ラシックス®錠(フロセミド)薬物動態情報
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ラシックス®(フロセミド)はループ利尿薬に分類される利尿薬です。

ラシックス®の利尿効果とは尿量を〇%増加させる状態です。

知っていましたか?答えはまとめに記載しています。

では、ラシックス®錠の薬物動態情報を見ていきたいと思います。

各動態情報の項目について詳細は下記記事をご参照ください。

本記事中のIFは『ラシックス®錠IF, 2021年12月(第12版)』をさしています。

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ラシックス®錠(フロセミド)薬物動態情報

用法用量

ラシックス® 1日1回 40~80mg適宜増減

バイオアベイラビリティ

  • 51%

バイオアベイラビリティは約51%(ラシックス40mg)
(IF:P.11より)

フロセミドを経口で投与した場合その吸収率は約50%となりますので静脈投与と経口投与の換算は下記となります。

フロセミド20mg静脈注射≒フロセミド40mg経口投与

全血液中薬物濃度/血漿中薬物濃度(B/P)

データなし

B/Pが得られていないためB/P=0.5を代用します。

分布容積(Vd)

  • 7.5L

健康成人にラシックス20~80mgを単回静脈内投与したときの分布容積は0.069±0.006~0.181±0.105L/kg(IF:P.11より)

→中間値0.125L/kg×60kg=7.5L

 

Vd(b)<Vd/(B/P)=7.5/0.5=15

Vd(b)≦20より細胞外分布型の薬剤といえます。

全身クリアランス

  • 132ml/min

健康成人にラシックス40mgを単回静脈内投与したときの血漿クリアランスは7.9±1.1L/h,腎クリアランスは6.5±0.8L/h,腎以外のクリアランスは1.4±0.3L/h(IF:P.11より)

 

  • 全身クリアランス(CL):7.9L/h=132ml/min
  • 腎クリアランス(CLR):6.5L/h=108.3ml/min
  • 肝クリアランス(CLH):1.4L/h=23.3ml/min

腎以外のクリアランスはここでは肝クリアランスとしています。

尿中未変化体排泄率(Ae)

  • 82%

Ae=CLR/CL=6.5/7.9=0.82

Ae≧70より腎排泄型の薬剤といえます。

抽出比

  • 腎抽出比

ER<CLR/(B/P)/QR=108.3/0.5/1200=0.18

ER<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。

 

  • 肝抽出比

EH<CLH/(B/P)/QH=23.3/0.5/1600=0.029

EH<0.3より消失能依存型の薬剤といえます。

 

タンパク結合率

  • 0.95

健康成人での蛋白結合率は 91~99%で,主にアルブミンと結合する(IF:P.12より)

→タンパク結合率中間値95%

 

タンパク結合率より結合していない(遊離形)割合が分かります。

血漿中遊離形率(fuP)=1-0.95=0.05

fuP<0.2よりタンパク結合依存型の薬剤といえます。

半減期

  • 0.35時間(IF:P.10より)

その他

  • 利尿効果:健康成人で尿量を30%または50%増加させる(治療上有効な血中濃度:約0.2~0.3μg/mL)
  • 最高血中濃度:1~2時間後に0.9μg/mL
    (IF:P.10より)

→最高血中濃度0.9μg/mLに達成した後、半減期2回(0.7時間)経過時点に血中濃度0.225μg/mLとなります。利尿効果(尿量30~50%増加)は理論的には少し長く見積もって投与後2~3時間まで得られます。

「利尿効果は、健康成人に経口投与した場合、経口投与後1時間以内に発現し、約6時間持続する(IF:P.9)」の“6時間持続する”という表現は、少しでも利尿作用が残っている状態という意味です。

 

ここでは経口投与について記載していますが、もし静脈投与の場合最高血中濃度の到達時間はどうなるでしょうか?

投与時間で、静脈内に入っていますので投与時点が最高血中濃度ですね。

クリアランス、分布容積、半減期といったそれ以外の薬物動態情報は経口投与と静脈投与では基本的に同様です。

例えば、ラシックス®注20mg1A投与後、4時間後にもう1A追加で投与する場合があると思いますが、それは十分な効果が得られていないことと、静脈投与4時間後には利尿効果がほとんど残っていないからですね。

 

経口投与で効果が得られにくいは静脈投与されるケースがあります。

それは腸管浮腫です。腸管からの吸収率が低下するため経口投与の効果が得られにくいです。

コチラの記事にも記載しています。

ラシックス®錠(フロセミド)薬物動態情報まとめ

ラシックス®錠(フロセミド)の特徴
  • Ae=82%→腎排泄型(Ae≧70)
  • ER=0.18→消失能依存型(ER<0.3)
  • EH=0.029→消失能依存型(EH<0.3)
  • Vd(b)=15→細胞外分布型(Vd(b)≦20)
  • fuP=0.05タンパク結合依存型(fuP≦0.2)
  • バイオアベイラビリティ:51%
  • 半減期:0.35時間
  • 最高血中濃度到達時間:1~2時間
  • 利尿効果(尿量30~50%増加)は投与後2~3時間程度まで得られる

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